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全く・・・、行動力だけはあるんだから・・・
-552 呑みたいからってそこまでやるか-
またもや自己中心的な理由で事業の展開へと踏み切った好美、ただそれを聞いた上級人魚にはどうしても聞きたい事があった様だ。
ピューア「ねぇ好美・・・、確かに連携してビアガーデンを開くのは良いアイデアだと思うんだけどウチって元々外にテーブル出して料理を出してたじゃない(もう「ウチ」って呼ぶべきか分からないけど)?」
ピューアが供述していた通り元々「ビル下店」では店先にも数卓程テーブルを出して割かし涼し気な外でも飲食を楽しめる様にしてあったのだ、これは好美が夏に故郷・徳島へと帰省していた度にビアガーデンへ向かっていた事からの名残だと思われる。
好美「うん、実はその店先でお酒を楽しんでいたお客さんからの要望だったりしたの。」
ピューア「「お客さんからの要望」?どういう事よ。」
「ビル下店」のオーナーが言うにはライカンスロープのケデール達の店でも店先に出したテーブルで飲食を楽しんでいたお客さんがいたらしく、「あそこの焼鳥や焼肉をここの料理やお酒と一緒に楽しめないか」という要望が多かった様なのだ(実は双方のお店で同様の意見が出されていたらしい)。
好美「それでこの前駐車場の事を改めてヤンチさんと話し合ったついでに「やってみようか」って事になった訳。」
ピューア「ふーん・・・、それは良いんだけど大変じゃ無いの?」
ピューアが言った通り多少ではあるがテーブルが増えているので従業員の負担が増えてしまっているのも事実である、正直言って今のシフトでは回せる様な状態では無い。
好美「心配ご無用だよ、テーブルを見て。見覚えあるものがあるでしょ?」
好美の指差したテーブルの上にはマンションの各部屋で導入されている「あのタッチパネル」が置かれていた、ただ景観を損なわない為に考えられているからか少し小さめっぽいが今は気にしない方が良いか(駐車場横なので景観もクソも無いかも知れないが)。その上テーブルの側で何やら小川の様に水が各店へと流れていてその「小川」には安全確保の為に金網で蓋がされていた、因みに一部分を開け閉めできる様になっている。
好美「このビアガーデン専用のタッチパネルを新たに導入した訳、それにマンションと同様に汚れた食器をあの水流の力で厨房に運びながら洗える様にしたの。」
イャンダ「凄い事だけど・・・、好美ちゃんってそういう事出来たっけ。」
思わず「いたのかよ」と言いたくなるが元々イャンダの『瞬間移動』でここに来ていたので当然と言えば当然の話(でも無いか)、ただ元店長としてしっかりと現状を把握しておきたいのだそうだ。
好美「そんなの出来る訳無いじゃん、私の何処にそんな技術があると思ったの?」
イャンダ「気を悪くさせたというならごめんって、ただ新しく設定するのも大変だろうなと思っただけだよ。それに新店でも役に立ちそうなシステムかもしれないじゃないか。」
好美「そうだね・・・、言われてみればそうか・・・。でもあのタッチパネルや機器の設定をしたのは光明さんなのよ。」
よく考えてみれば好美がパソコンを用いて出来る事と言えばDTMを作る事位だった様な・・・、今はどうでも良い話か。
ピューア「「光明さん」って貝塚財閥の?」
好美「うん、と言うか他に誰がいるって言うの?」
確かに転生者達の周りで機会に強い人間と言えば光明位しか思いつかない、ただ副社長自ら作業を買って出てくれたとは何て幸運な事なんだろう。
ピューア「あんた・・・、光明さんにいくら渡したのよ。」
好美「それがね、光明さん自身は「趣味の範囲だからタダで良い」って言ってたんだけどあれを見てくれる?」
ピューア「「あれ」・・・?」
全員の目線の先で見覚えのある「アイツ(って今は呼んで良いんだよね)」がお決まりの様に昼間から酒を楽しんでいた、正直もう怒る気にもなれない。
結愛「かぁーっ!!やっぱり昼間から堂々と呑むビールは最高だぜ!!」
好美「「光明を貸すから店のタダ券をよこせ」なんて言って来てさ、ずっとあの調子なの。」
ピューア「全く・・・、調子が良いんだから・・・。誰か頭痛薬持って無い?」
イャンダ「いやピュー、濃い目のバーボンの方が良いんじゃ無いのか?」
あんたら全員仕事中だよな・・・?