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可哀想な奴・・・
-551 失態と裏-
またまた理不尽な理由で今月の給料が減ってしまった「ビル下店」の新店長、何となく生活の方が心配になってくるが今は関係のない話。
好美「それにしてもイャン、ちゃんと『探知』をしておけばこういう事にならなかったんじゃ無いの?」
オーナーが言った通り『瞬間移動』は『察知』や『探知』といった能力の応用技なのでしっかりと店内の事を『探知』しておけば今の様な失敗は無かったかも知れないが好美も人の事を言えた立場では無かった様な気がする、確か自室のバルコニーにビールか何かを運び込もうとした時だった様な・・・。
好美「私の事は良いの、それに結構前の話じゃ無いの。」
それは失礼致しました・・・。
しかし今回の失敗に至ってはイャンダのみに原因があった訳では無かった、実はもうすぐ開店する「新店」へと2人が異動した後に「ビル下店」では「マンネリ化を防ぐ為」という理由でテーブルの位置を大幅に変えていたのだ。
ピューア「好美・・・、これは誰だって予想しなかったって。今までの様に並べていないとお客さんが座りにくくなるんじゃないの?」
好美「それが逆なの、実はより一層お客さん達に楽しんでもらうために新たに回転卓を増やしたのよ。」
上級人魚達が辺りを見廻すと「暴徒の鱗 ビル下店」内における回転卓の数が増えているように見えた、しかし今までこの店の店長を務めていた元竜将軍には気になる事が1つ。
イャンダ「じゃあ今まで使っていた長方形のテーブルはどうしたの?あれ皆で協力して綺麗なままを保っていたし、まだ使える状態だったと思うけど。」
確かに店内の景観が大幅に変わったのは認めるがそれに伴って無くなってしまってしまった物についてはどうなのかを全くもって気にならなかったと言えば嘘になる、まさか捨ててしまったというのだろうか(しかもあの「ドケチ」で有名な好美が)。
好美「使っているよ、ただ場所を動かしたけどね。」
イャンダ「「動かした」?」
ピューア「何処によ。」
改めて見廻してみると前店長が言っていた長方形のテーブルが減ってしまっている、ただやはり好美が簡単に物を捨てるとは思えない。
好美「2人共覚えてる?ほら、この近くにライカンスロープの兄弟がお店を開いたの。」
ピューア「あそこでしょ、毎日タレの良い匂いが漂って来たお店。」
イャンダ「確か・・・、このビルの裏に中型や大型も停めれる駐車場を作るって話し合いがもたれた所だよね?」
好美「そうなの、実はこの前その土地に関して相談があった訳でさ。」
ピューア「相談?今更何を話し合う訳?」
好美「まぁまぁ、決して悪い話じゃ無いと思うからこっち来てよ。」
好美がそう言うとビルの裏にある駐車場の方向へと共に向かう3人、そう言えば何か(というか誰か)忘れている様な・・・。
好美「そう言えばそちらの方は?何処となくピューに似ている感じがするね?」
ピューア「あれ?この前私の実家に来た時に会わなかったっけ?私のお父さん。」
相手の気を悪くしない為に優しくマーマンの方を手差しする拉麵屋のオーナー、その気遣いがメラルークは嬉しかったとの事。
メラルーク「お初にお目に掛かります、私はピューアの父親でマーマンのメラルークと申します。以前はこちらで不束者の娘がお世話になった様で。」
ピューア「お父さん・・・、堅苦しいよ・・・。」
メラルーク「いやいや、こういう事はしっかりしておかなきゃ。」
そうこうしている内に4人は駐車場に到着した、そこには日よけの為の大きなパラソルと見覚えのあるテーブルが数卓。
好美「共同でビアガーデンをする事になったのよ、良いでしょ?」
ピューア「良い案ではあるけど・・・、あんたこれまさか・・・。」
好美「うん、私が焼き鳥を肴に呑みたかったからオッケーしたの!!」
好美らしい理由だな・・・




