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まさに「何でもあり」・・・、あはは・・・・。
-550 気が緩んだか-
好美のお陰(?)でやっとのこさ思い出した『瞬間移動』を使用して恋人達がこれから苦楽を共にする事になるボーリング場・・・、いや新店のある「竜騎士の館」へと向かおうとした3人だったまさかのトラブルが発生してしまった。
メラルーク「ん?着いたのか?旅館のエントランスにしてはやけに狭いじゃ無いか。」
ピューア「イャン・・・、ここ・・・。」
俺からすれば十分起こり得る事態だった様だがトンカツ屋の店主の立場から見るとただの「焦らしプレイ」にしか思えない事だった、ただそれだけで済むと良いんだが・・・。
イャンダ「またやっちまった・・・、来るのに慣れているからって「ビル下店」に飛んじまったよ・・・。」
数年もの間働き続けていたが故に体がすっかり馴染んでしまった元勤務先に飛んでしまった様だ、しかし改めて考える事でも無いのだがそれだけで済むのだろうか。
ピューア「ねぇ・・・、何となく床がぐにぐにしてない?」
イャンダ「そうだな・・・、こんなにここの床って柔らかかったか?」
不思議な感触に戸惑う恋人達の横でメラルークが顔を蒼くしていた、それもそのはず・・・。
好美「ちょっと!!いつまで私の上に乗ってるつもり?!」
そう、突如人員不足が発生したので急遽手伝いに入っていた好美の上に着地してしまった様だ。それは良いんだが(?)、早く降りてやれよ。
好美「ちょっと創造主、何処が「良いんだが」よ!!それと2人はまだ降りてくれないの?!」
すると痛がるオーナーの肩甲骨辺りを足で踏み始めた上級人魚。
ピューア「いや・・・、好美この辺りがゴリゴリしてるからこうやって踏んでたら良いマッサージになるかなと思ってさ。」
明らかに合理化しようとしているのが見え見えである、しかし結果は意外な方向に。
好美「ふぇ~・・・、もうちょっと右かな・・・、そうそこそこ・・・。効くぅ~、ピュー上手いじゃん!!」
いつの間にか起こってしまった事態を忘れてピューアの足によるマッサージに身を委ねる好美、ただ1つ決して忘れてはいけない事が・・・。
客「店員さん、ビールと一緒に頼んでた焼き餃子まだですか?店員さん?」
デルア「すみません、すぐにお持ち致しますので少々お待ちください!!」
客の声が耳に届いていないのか、それとも聞こえていないフリをしているのか分からなかったが好美は未だにマッサージを楽しんでいた。これでは先が思いやられてしまう。
デルア「好美ちゃん、気持ち良さそうなのは羨ましいけどいつまでそうしているつもりなの?!それだと来てもらった意味無いじゃない!!」
デルアの言った通りだ、ただこの言葉もオーナーの耳には届いていなかった様で・・・。
ピューア「ごめんなさいデルア、まさかこうなるとは思って無くて。」
デルア「いや大丈夫だよ、それに寝ているままにしておけば好美ちゃんの肴を作る手間が省けるし。」
すると好美が「肴を作る手間が省ける」という一言に即座に反応してしまった、これはまずい事になってしまった可能性が・・・。
好美「デルア・・・?」
デルア「えっと・・・、15番卓、餃子とビール行きます!!」
誤魔化そうとしているのが見え見えだ、普段「暴徒の鱗 ビル下店」ではこの様な掛け声は出さない上に「15番卓」など存在していない。
好美「あーあ・・・、減給確定だねぇ。」
ピューア「好美!!嘘でしょう・・・?」
いや・・・、お前もな?




