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先程までの『回想』を振り返る好美
-535 好物か仕事か-
結愛に対して全力のツッコミをかましていた好美はブロキントが作業を行う加工場の様子を見て違和感を覚えていた、先程までの『回想』からの流れだと眼前の光景は個人的に何となくあり得ない様な気がしてならなかったそうだ。
好美「ねぇ、お金に困ってたのってブロキントさん1人だったはずじゃないの?」
結愛「うん・・・、まぁ確かにそうだな・・・。」
好美はちらっとだが「近頃の物価高騰の影響をもろに受けたからか、ミスリル鉱石の価格が急上昇した事に伴いゴブリン達の給料が上がった」というニュースを「暴徒の鱗 ビル下店」に設置しているテレビで見たのを覚えていた、厨房に設置していた小さなテレビで同じニュースを見たデルアが好美に聞こえる様にわざとらしく「うちも上がらないかな・・・」とこぼしていたので尚更である。
好美「じゃあさ・・・、何で他のゴブリンさん達もいる訳?」
結愛「ああ・・・、それは・・・。」
すると偶然居合わせたゴブリン・キングが貝塚財閥代表取締役社長の言葉を遮る様に話しかけて来た。
ブロキント「結愛はん、良かったらワイから説明させてもろてもええでっか?」
相変わらず似非関西弁が抜けないブロキント、これはスライムのプルも同様だと言える。
結愛「それは助かりますけど・・・、じゃあお願い出来ますか?」
ビジネスの場である上に素面に戻っているので「大人モード」で対応する結愛だったが、実際は「全くもって覚えていないから」という理由が相応しいのでは無かろうか。
ブロキント「えっと・・・、あれは酒場で・・・。」
長くなりそうなので俺から説明する事にするか、突然だが話は2人が・・・。
ブロキント「何で創造主はんが説明するんでっか?!ワイからさせて下さいよ!!」
あのな・・・、お天道様(いや結愛)が許しても俺が許さないという場合があると思わなかったのか?!全ては俺次第なんだよ!!
結愛「待て、ちゃんと台本読んだのか!?ブロキントさんの台詞になっているだろうが!!」
ブロキント「そうですよ!!ワテ必死に覚えたんですからやらせて下さいって!!」
だから誰がその台本を書いてんだよ、全くもう・・・・。あのな、俺から説明するからあんたはあっちで次のシーンの台詞を確認してろ!!
ゴホン・・・、では改めまして・・・。突然だが話は2人が酒場で呑んでから数日後に遡る、その日のシフトが昼までだったブロキントは加工場の事を誰にも話していなかったのでコソコソと王城へと向かおうとしていた(結構急いだつもりだった様だが)。
ゴブリン「あれ?リーダーは食わへんのでっか?」
昼間にやって来る渚の屋台での食事はゴブリン達にとって1日の楽しみの1つとなっていたのでどう見てもブロキントの行動が奇妙で仕方なかった、特に渚特製の「辛辛焼きそば」が本人にとって毎日食べても飽きない位の大好物になっていたので余計だったらしい。
ブロキント(回想)「せやねん、今日急な用事があって帰らなあかんねん。」
ゴブリン「珍しいでんな、リーダーに用事なんてあるんでっか?もしかして・・・。」
ブロキント(回想)「な・・・、何や?」
ゴブリン「デートでっか?」
ブロキント(回想)「そうそう、女待たす男はあかんって言うやろ。急がなあかん・・・、ってちゃうわ!!ワイみたいなゴブリンに付き合ってくれる女の子が何処におんねん!!」
そんな中、やっとゴブリンをかわしたリーダーは王城へと到着して作業を開始した。その光景を後ろからコソコソついて来たゴブリンがしっかりと見ていた様なのだ。
ブロキント(回想)「お前・・・、全部見とったんか・・・。」
ゴブリン「見てましたよ、リーダーだけ狡いですわ。ワイも働かせて下さいよ!!」
ブロキント(回想)「しゃあない、結愛はんに言ってみるか・・・。」
一方その頃、何も知らず駐車場に屋台を止めていた赤鬼はというと・・・。
渚(回想)「何だい、誰も出てこないね。これだと商売あがったりじゃないか。」
あらら・・・




