533
裏目に出るって時よくあるよね
-533 聞いて良いのか?-
「住民の方々に気軽に声をかけて欲しい」という心遣いが故にお忍び(?)で場外に出る時は出来るだけ目立たない恰好をしていたからか(いやこれって公務じゃねぇのか)、国王は店の女将に怒られてしまった。ついいつもの調子で大人買いをしてしまいそうになっていたので改めて「郷に入っては郷に従え」という言葉を実感させられてしまった様に思える、決してここではデカルトではなく女将がルールブックとなるので素直に従うのが一番だろう。
デカルト(回想)「いやいや、申し訳ありません。確かに女将さんの仰る通りです、1人で全部買ってしまっては他のお客さんが楽しめませんもんね。」
女将「そうさ、ここはあんた1人の場所ではなく皆の社交場なんだ。決まりを守れないやつは何処のどいつか知らないが即座に出て行ってもらうよ!!」
そこにいた渚は「格好が格好なので女将には気付かれていないのだ」とすぐに分かったみたいだが、女将が相手にしているのが一国の主なのでついつい焦ってしまう社長。
結愛(回想)「女将さん・・・、それは流石に・・・。」
デカルト(回想)「結愛さん、構わないですよ。私の落ち度なんです、怒られて当然です。」
結愛(回想)「そうですか・・・、こ・・・、デカルトさんがそう仰るなら・・・。」
何となくだが結愛の様子に違和感がある様に思えた女将、今までも上手くやっていたと感じがしたが実は国王が民衆に溶け込むのは難しい事なのだろうか。
女将「あんた・・・、そっちのお客さんが必死そうにフォローしているみたいだけど一体誰なんだい?」
デカルト(回想)「大した者ではありません、今は『人化』していますがただの上級鳥獣ですよ。」
女将「コッカトリスだって・・・?何処からどう見てもただのおっさんじゃないか。」
もしこの場で「私は国王(若しくは一国の主)だ」と名乗ってしまうと騒ぎになりかねない、その上折角お酒を楽しんでいるお客さん達が畏まってしまうので落ち着かなくなってしまうかもしれない。
デカルト(回想)「ハハハ・・・、よく言われますよ。ただ『人化』してないとこういった楽しいお店に入れないので良い魔法(能力)を得たと思っています。」
女将「そうかい、そう言ってくれたら助かるよ。それとさっきは言い過ぎてすまないね、お詫びに奢らせてくれないか?」
デカルト(回想)「宜しいのですか?私が悪かったのに。」
女将「良いんだ、私も大人気なかったと反省しているからね。」
デカルト(回想)「ではお言葉に甘えて・・・、1本ですよね?」
女将「ふふふ・・・、分かっているじゃ無いか。」
良い雰囲気で話が進んでいるのは良いがデカルトにはどうしても聞いておかないといけない事が1つ、やはりこの店のルールをちゃんと知った上で楽しみたい様だ(だから今は公務じゃねぇのか)。
デカルト(回想)「女将さん、1つお伺いしたい事があるんですが。」
女将「改まって何だい、そんなに畏まらなくても良いじゃ無いか。」
今更だがここの女将さんもデカルトを含めた3国の国王や貝塚財閥代表取締役社長と同じで堅苦しいことが苦手な様だ、俺個人としてはそっちの方が助かるが。
デカルト(回想)「特に空き缶などのゴミ類に関してなんですがお代わりが欲しい時はどうしたら良いんですか?」
女将「ああ・・・、レジの所にゴミ箱があるだろう。そこに入れてくれたら大丈夫だよ。ただ酒の缶は必ず潰して頂戴ね、そのままだとどうしても嵩張っちまうからさ。」
デカルト(回想)「おつまみとして頂いたお料理のお皿はどうすれば?」
女将「あんたね・・・、1つじゃ無かったのかい。まぁ良いさ、料理の「受け取り口」の横に「返却口」があるからそこに返しておくれ。」
デカルト(回想)「成程・・・、これだと人件費をかなり抑える事が出来るからお酒などの料金を安くできるんですね。」
これは恐らく元の世界(日本)のとあるチェーン店でよく取られている「セルフ方式」だと思われるがこの世界ではまだ珍しい様だ、「角打ち」である時点で珍し気に思う住民も少なくないと推測できるがこの店を利用しているゴブリン達にとってはもうすっかり当たり前となっているらしい。
女将「そうなのさ、これで物の原価が上がっても相当でない限り怖く・・・、って何言わせてんだい!!」
あらあら、聞いて良いのかしら




