53
美麗は夢の様な生活を前に興奮していた。
-53 驚いてばっかり-
美麗は新居を前にして目を輝かせていた、ずっと実家で住んでいたので密かに一人暮らしに憧れを持っていたのだ。
美麗「好美、早く行こうよ!!」
好美「さっきとは別人みたいになってんじゃん、もう・・・、腕を引っ張らないの!!」
新居になる部屋を前にして、大家である好美の手からカードキーが渡された。
美麗「日本とは差が無いんだね、こりゃ助かるわ。」
部屋に入ると、好美や守にとっては見慣れた光景が広がっていた。内線電話に出前用のタッチパネルがある、もう当たり前となった光景。
美麗「凄いね、ここに住んで良いの?」
初めてだらけの部屋を大層気に入ったのか、美麗は先程以上にドキドキワクワクしていた様だ。
新居に入った美麗が最初に食らいついたのは、1階の「暴徒の鱗」に出前を注文する時に使用するタッチパネルだった。どうやら気を利かせた不動産屋が電源を入れていた様だ。
美麗「ねぇ好美、これ何?中華料理の写真が映ってるけど。」
好美「ほら、さっき言ったじゃない。私がオーナーをしている拉麵屋があるって、そこに出前の注文をする際に使うのよ。」
「拉麵屋」という言葉を聞いてタイミング良く腹の虫が鳴った美麗。
美麗「さっきから何も食べてないからお腹空いちゃったよ。」
好美「じゃあ、ランチついでに味見してくれない?ついでに店長達に美麗を紹介しようと思っているの。」
好美の言葉を『察知』したのか、店の副店長から『念話』が来た。
デルア(念話)「好美ちゃん、イャンダは今日有給休暇だよ。」
好美(念話)「そうだそうだ、今日法事だから実家に帰るって言ってたの忘れてたよ。」
先程から直立不動の友人を不審そうな目で見る美麗。
美麗「好美・・・、さっきからどうしたの?何やってんの?」
好美「うーん・・・、口で説明するより実際に見せた方が良いかも。」
好美は持っている能力を全て美麗に『付与』して、その後友人に『念話』を飛ばした。
好美(念話)「美麗?私の声、聞こえる?」
美麗「何これ・・・!!好美の声が直接脳内に流れ込んで来るんだけど!!」
好美「美麗も私に届かせるイメージで声をかけてみて?」
美麗「こう・・・、かな・・・。(念話)どう?聞こえてる?」
好美(念話)「うん、初めてにしては上出来だよ。ちょっと待ってね、デルア!!聞こえてるんでしょ?」
デルア(念話)「聞こえてるけど・・・、店にはいつ来るんだい?」
聞き覚えのない男性の声が聞こえて来たので少し焦りだす美麗。
美麗「好美!!この人、誰なの?!不審者?!」
好美「安心してよ、今から行く拉麵屋の副店長のデルア。一先ず、会いに行ってみようか。」
美麗「じゃあエレベーターに乗らなきゃだね・・・、って・・・、えっ?!」
好美「えっとね・・・。もう・・・、着いたんだけど・・・。」
そう、会話をしている最中に好美が『瞬間移動』したので速攻で到着した事に再び焦る美麗。焦り過ぎたのか派手に着地に失敗した様で大いにずっこけてしまった、しかし好美が『全身強化』を『付与』していたので怪我は無かった。
服の汚れを気にする美麗の前にデルアが現れた、先程の会話を『察知』していた様で・・・。
デルア「はぁ・・・、まさか返事をしただけで「不審者」とはな・・・。」
美麗「す・・・、すみません。『念話』自体初めてなので焦っちゃいまして・・・。」
デルア「大丈夫だよ、一先ず食事にするんだろ?2人共中に入りなよ。」
副店長の案内で席に着いてメニューに目を通した美麗はある料理に自分の目を疑った。
美麗「これ・・・、ここで食べれるの?何で・・・、これがあるの?!」
美麗が食らいついた料理とは・・・?