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流石に国王の意見を否定する訳にはいかない様で・・・
-531 楽しみたい-
早速結愛達はリーダーであるゴブリン・キングのブロキントと会う為に掘削場へと向かった、一応社長は「『瞬間移動』で行けばすぐに済むから」と言ったのだが「ゆったりと飛んで行きたい」という国王の意志を尊重したが故に本人の背に乗って行く事に。
デカルト(回想)「我儘を言って申し訳ありません、ずっと王城に籠り切りですと何かと窮屈ですので偶にはこうしてゆったりと飛びたくなっちゃうんですよ。」
結愛(回想)「謝らないで下さいよ、それより私なんかが背に乗せて貰っても構わないんですか?」
デカルト(回想)「問題ありませんよ、言い出したのは私なんで寧ろお礼を言わないといけない位です。ただお時間は大丈夫なんですか?結愛社長は大変お忙しい方なのに。」
結愛(回想)「社内の業務は副社長(光明)に任せて(いや押し付けて?)来たので構わないですよ、それに一度鳥魔獣の背に乗って飛んでみたかったんです。」
デカルト(回想)「あらら、だったらお気の済むまで楽しんで頂かないと。」
どうやら2人共ノリの良い者同士だった様でデカルトは結愛を乗せたまま遊び半分と言える移動(という名の遊覧飛行)を楽しんでいた、ただダンラルタ王国から戻った結愛に光明によるお説教が待っている事は言うまでもない。
暫くの間ゆったりと飛んでいるとゴブリン達の働く掘削場が見えて来た、ただ様子がおかしい。いつもと違って静かというか活気が無いというか・・・。
結愛(回想)「どうかしたんですかね、ゴブリンさん達が1人も見当たりませんが。」
いつもなら掘削作業などに追われたゴブリン達で騒がしくなっているのだがこの日は全くもって正反対と言える程に静かだった、何か問題でも起こったのだろうか。
デカルト(回想)「怪しいですね、一先ず降りてみますか。」
「緊急事態だったらまずい」と思ったデカルトはゴブリン達が事務所として使っているプレハブ小屋の前まで急いだ、国王の着地とほぼ同時のタイミングで入り口のドアが開いて中からリーダーのブロキントが出て来た。
結愛(回想)「ブロキントさん、お久しぶりです。」
ブロキント(回想)「あらま、結愛はんやないですか。こんな所で珍しい。」
似非関西弁を使うのも相変わらずの様だ、ただ今は置いといて。
デカルト(回想)「お疲れ様です、いつも通り作業着姿がお似合いの様で。」
ブロキント(回想)「あらこれはこれは、国王はんまでがこんな人里離れた場所にどうされたんですか。」
デカルトが『人化』した瞬間の姿を見て驚きを隠せないゴブリン・キング、本人が驚く位なのでここに来客があるのは珍しい事らしい。
デカルト(回想)「それより今日はどうされたんですか?他の方々が見当たりませんが掘削作業は行わないんですか?まさか・・・。」
以前あった様にまたお騒がせの大臣・ロラーシュがお忍びでミスリル鉱石を食べに来ているのかと思ったデカルト、「ゴブリン達に迷惑をかけてはいけないから食べに来るのはやめろ」と口を酸っぱくして言ったはずなのだが。
ブロキント(回想)「違うんですわ、今日は従業員全員の週休日なんです。流石にぶっ通しで働くのは体に良くないんでね、こうやって週2日は休みを与える様にしているんです。」
デカルト(回想)「それなら良いんですが・・・、だったらブロキントさんは何故こちらにいらっしゃるんです?」
ブロキント(回想)「ワテはちょっと忘れもんをしとったさかい、それを取りに来ただけなんですわ。今から家の近くの酒屋にでもふらっと寄って帰ろうかと思いまして、紛らわしい事してすんまへん。」
デカルト(回想)「いえいえ、謝らないで下さい。勘違いをしていたのは私の方なので。お詫びと言っては何ですが酒屋さんまで送りましょう、良かったら私の背に乗って下さい。」
ブロキント(回想)「そんな・・・、申し訳なくて乗れないですよ。」
デカルト(回想)「構いませんって、ゆったりと飛ぶのは私の趣味の1つだったりするんですから。結愛社長は構いませんよね?」
「No」だなんて言える訳が無かった、ここでそんな事を言ってしまうと王命に背く事になってしまいそうで怖かったからだ。
結愛(回想)「何を仰いますやら、それに私は意見できる立場では無いんで。」
デカルト(回想)「ほら、結愛社長もあの様に仰っているので是非。」
ここでも人任せ




