513
確認はちゃんとしましょうね
-513 自業自得と言うより自己中に近い様な-
面接もしていないのに2人をアルバイトとして雇う事に決めた渚、その横にいた光には確認しておきたい事が2点程あった様だ。どうやら前者は「改めて聞くべきなのか分からない事」の様だが後者は結構重要な話になりそうな模様。
光「お母さん、念の為に聞くけど急に2人を雇うと言っても屋台にはロラーシュさんもいるから人員的には必要無いんじゃないの?それと元々は軽バンだから4人乗りだったけど今は後ろの部分を潰して屋台として使っているじゃない、どうやって移動するってのよ。」
渚「あんたね、一度に何個も聞くんじゃ無いよ。一先ずロラーシュは「ダンラルタ王城店(仮)」の打ち合わせをオーナーになる予定のデカルトとする為に大抵は王城にいるんだ(「王」を付けろって)、それに兄弟はケルベロスなんだから走って追いかけて貰えば何とかなるでしょうが。」
光「ロラーシュさんに関しては元々そうなる予定だったから分かるけど、2人に走らせる事には納得できないよ。いくら何でも可哀想だもん。」
流石に兄弟の内の1人(若しくは2人共)に走らせて渚が屋台に乗るのは周りからすればいじめの様にも見えて仕方が無い、車両を使って動くのなら全員を乗せて移動するべきだと思うのは俺や光だけではない(というか倫理的にアウトになりかけている様な)。
光「それにロラーシュさんを雇う前までは1人で全部やってたじゃん、今までに戻るだけだから雇う必要性を感じないんだけど。」
確かに屋台の側に椅子のみを置いたカウンター数席とテーブル数卓のみの営業なので渚1人でも十分回っていたはずだ、まさかと思うが結構な量の仕事をロラーシュに任せていたというのだろうか(弟子と言っても一応大臣だから気を遣うはずなんだが)。
そんな事を考えていると渚は少し話し辛そうにしていた、何か事情がある様だ。
渚「実はちょっと・・・、話しておきたい事があるんだ・・・。」
結構重い話の予感がするが一応内容を聞いておこう、渚本人の事情を加味するのが最優先だからな。
光「どうしたのよ、珍しく悩んでいるじゃない。」
こんなに何かについて考え込んでいる母を見るのは久々な気がする光、しかし一緒に住んでいるとはいってもなかなか言えない悩み等は誰にだって存在するので仕方のない事では無いだろうか。
渚「実は最近ダンラルタの山道を走る度に腰が痛くてね・・・、歳なのかね。」
改めて言う事でも無いが日本からの転生者はこの世界で歳を取ることは無い、やっぱり羨ましいったらありゃしない。
光「はぁ・・・、全く・・・。」
結構大きめのため息だが何か思い当たる節でもあるのだろうか。
光「ハッキリ言うけど自業自得じゃない。」
渚「親に向かってなんて事を言ってんのかね、どういう事か説明してもらおうか。」
しっかりとした説明を分かりやすくしてもらわないと納得できない渚、確かに悩みの理由を「自業自得」だと言われるとムっとしてしまうのは致し方が無い。
光「じゃあ言わせて貰うけど屋台で山道を攻め過ぎじゃないの、だから何度も買い替えと修理を繰り返すのよ。」
渚「エボⅢじゃないのにそこまで攻めてる訳が無いじゃ無いか、大切な食材を載せているのに安全運転で国を回っているに決まっているだろ。」
光「あのね・・・、安全運転だったら1ヶ月でタイヤが交換しないといけない位にちびる事はないの!!」
渚「ドリフトはしてないからマシと思うんだけどね・・・。」
光「それでもダンラルタの山道を120kmで飛ばす馬鹿が何処にいるのよ、聞いた事無いったらありゃしない。」
渚「120kmって・・・、大袈裟過ぎやしないかい?!80kmで我慢してるよ!!」
光「80kmは我慢って言わないの!!それに・・・!!」
渚「何だい、まだあるってのかい?!」
思い当たる節がありすぎる娘、どんだけ詳しいんだか・・・。
光「拘りか何か知らないけど、運転席にバケットシートなんて入れるからでしょ!!」
渚「それは・・・、気分が・・・、ねぇ・・・。」
誤魔化せてねぇぞ




