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好美が考えた解決方法とは・・・。
-51 憧れの存在による手厚い歓迎-
呆気ない感じで最適な解決方法を見つけた好美の目の前で、珠洲田は空いた口が塞がらなかった。こんなに自分が頭を抱えていた事を意外にあっさりと解決した様で、正直悔しいが今は気持ちを抑える事しか出来なかった。
珠洲田「好美ちゃん・・・、どうするつもりなんだい?」
下手に出て好美が考え出した方法を聞き出そうとするギルドマスター。
好美「そんなのここにいる美麗に言えば良いじゃん、「中型」持ってるから大丈夫だよ。」
珠洲田「そう言えば見慣れない子だね、ギルドカードはあるかい?」
美麗「いや・・・、この世界に来たばかりで持って無いです。」
美麗の言葉を聞いた好美は「待ってました」と言わんばかりに友人達を連れて冒険者ギルドへと『瞬間移動』した。向かった先では「ギルドの人気受付嬢・ドーラ」ことネフェテルサ王国警察のノーム・林田警部補が転生者達を笑顔で出迎えた。
ドーラ「あら好美ちゃんじゃない、いつものやつ?仕事の依頼?それとも元の世界に置いて来た彼氏の自慢話をしに来たのかしら?」
冗談好きのアーク・エルフの手厚い歓迎により、顔を赤らめる好美。
好美「何言ってんの、そんな事した事無いじゃん。」
ドーラ「え~?!いつもあの席でハイボール片手に語っているじゃない、確か「私の彼氏の・・・、が・・・」って。」
好美「わー!!わー!!わー!!」
ドーラの発言を慌てた様子で必死にかき消そうとする好美、どうやら受付嬢が言っている事は本当らしい。
守「おいおい、そうなのか?」
ジトっとした視線を恋人の方へと向けた守。
好美「何言ってんの、私があんな下ネタ言った訳無いじゃん!!」
ドーラ「下ネタって何の事かな、私はただ好美ちゃんが「私の彼氏の作った料理が凄く美味しい」っていつも語ってたって言おうとしていただけなのにな~。」
好美「もう!!ドーラの意地悪!!」
頬を膨らます好美の様子を見て、遊びはそろそろやめておこうかとそそくさに仕事を再開するドーラ。
ドーラ「ごめんごめん、それで?今日は何か用事でも?」
好美「ついさっきこの世界に転生してきた友達のギルドカードを作ろうと思って来たの。」
好美はついでに、美麗が結愛の会社でこれから働こうとしている事も伝えておいた。
ドーラ「成程、履歴書代わりって事ね。ご友人さん?身分証明書になる物はお持ちですか?」
美麗は自分が呼ばれた事に全く気付いてなかった、何故なら・・・。
美麗「エルフだ・・・、本物のエルフがいるよ・・・。」
そう、元の世界にいた頃からファンタジー系統の漫画や小説を読んでずっと憧れを持っていたエルフが本人の目の前にいたからだ。
好美「美麗!!目輝かせてないで免許証出して!!」
美麗「ご・・・、ごめん。免許証ね、日本で貰ったやつで良いかな・・・。」
不安げになりながら元の世界から持って来た免許証を出した美麗、相も変わらず名前の表記は「松戸メイリー」のままだった。
ドーラ「「松戸メリー」さんね、登録しておきますね。」
美麗「「メイリー」です。あと「美麗」でお願いします、一応こっちが本名なので。」
ドーラ「ごめんなさいね、では「松戸美麗」さんで登録しておきますね。」
元の世界にいた時と何ら変わらない会話を交わしつつ、小刻みに震えていた美麗。
好美「あんた・・・、何かあったの?」
美麗「夢じゃないよね?!私、エルフと話しているんだけど!!」
興奮が冷めない美麗。