512
また渚は何かを考えている様だ
-512 新たな提案-
光の脳内に再び嫌な予感がよぎった、対決には敗北したはずなのに何処からどう見ても母親が顔をニヤケつかせていたのだ。
渚「あんた達よくやったね。約束だ、コイツは2人のもんだ!!」
『アイテムボックス』からラードスターを再び引っ張り出して鍵を兄に引き渡す赤鬼、ただこのまま話が済むようには思えない。
渚「なぁあんた達、ちょっと提案があるんだけどさ。」
光「やっぱり・・・、お母さんったら今度は何だってのよ・・・。」
嫌な予感が的中した為に大きくため息をついて項垂れる光、渚は何を考えているのだろうか(そしてどうして母娘なのに分かり合えていないのだろうか)。
渚「ちゃんと聞いておきたいんだけど2人は今ヌラルちゃんのいる料理科に通っているんだよね、勉強は大変かい?」
カラン「「簡単だから平気」って言えば嘘になるかな、結構専門的な知識が必要だし。」
ミル「念の為に調理師免許取得に必要な単位を取ろうとしたら栄養素とか食品衛生といった事を覚えるのが思った以上に大変なんだよ、ただそれなりに勉強のし甲斐があるって感じているんだ。」
「来た来た」と言わんばかりに顔をニヤつかせる渚、実はこの展開を予測していたのかも知れない。
渚「ヌラルちゃんもそうだけどあんた達は学生だ、中型免許以外にもお金が必要だろう。」
ミル「まぁ・・・、確かにそうだけど。」
(この世界と元の世界関係無く)学生の事情を知り尽くしている風に見える渚、ただこちらからすれば何を企んでいるのかをハッキリと言って欲しい。
渚「その上に将来は拉麺の店を出そうとしていると来たもんだ、ここで私からの提案さ。」
光「お母さん、引っ張り過ぎ。早く言いなよ、でないと兄弟が辛さにやられて倒れちゃうよ。」
どちらかと言うと「辛さ」というより「『聖水』の飲みすぎ」だと思われるが今は渚の提案が気になるのでそっとしておこう、でないとまた話が進まなくなってしまう。
渚「分かったよ・・・、あんたの事でも無いのにせっかちだね・・・(誰に似たんだか)。」
光「何?何か言った?」
渚「何でも無いよ・・・(地獄耳なんだから)。」
光「あんだって?!」
周囲にいた全員に「絶対聞こえてただろ」とツッコませる会話だが今はスルーしておくのが身の為と思ったのか、全員何も言わなかったとの事。
渚「何でも無いって・・・、取り敢えず私の提案ってのは「2人がうちでバイトする事」さ。」
光「やっぱりか・・・、そんな事勝手に決めちゃっていい訳?シューゴさんに一言でも言わなくても良いの?」
流石に給与などといった人事的話になって来るのでトップであるシューゴに報告する事が必須となっている、いくら支店の店主でも独断で行う訳にはいかない様だ(好美がちゃんとやっているかどうかは置いとこうか)。
好美「ちょっと、余計な一言が聞こえたよ?」
いや・・・、気の所為だと思いますけど・・・(口笛)。
好美「「ビル下店(うちの店)」でもちゃんとやってるもん、イャンダ(これから先はデルア)が!!」
ほら、結局人任せじゃ無いですか!!まぁ・・・、世の中「適材適所」って言うから気にしないでおくか。
渚「取り敢えずだ、拉麵の勉強をしながらバイトとしてちゃんとお金も稼げる。あんた達からすれば一石二鳥だろ、それとも何か文句でもあるのかい?」
恩人である渚の下で学びながらお金も稼げる、2人にとってはこの上ない話とも言える。ただ何か忘れている様な・・・、まぁ良いか。
きっと気の所為だろう