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これは兄弟でも無理だったか
-510 結果-
光による『聖水』で復活した兄弟は再び箸を掴んで料理に挑もうとしていた、しかし重要な事を忘れていた様で・・・。
渚「制限時間は残り5分だ、流石に辛い物が好きと言ってもここまでだと無理なのかね。また改善しなきゃいけないかもね。」
どう考えても「いけないかも」ではなく「いけない」という事は一目瞭然のはず、どう考えても原因は「トリニダート・スコーピオンとブート・ジョロキアの使い過ぎ」である。
カラン「くっ・・・、ここまでか・・・。」
ミル「兄ちゃん・・・、俺達はよくやったよ。見てみなよ、もうスープだけじゃないか。」
その唯一残っていたスープが問題であった、溶け出した辛み成分の所為で強烈さが増したスープの味は「辛い」というより「痛い」という言葉の方が合う程になっていた。
ただ周りの観客から賞賛の嵐が沸き起こっている、ある意味で2人は勝利を手にしたと言っても良いのではなかろうか。
結愛「赤姉さん、もう良いじゃないですか。2人は大分健闘しましたよ?」
元々美麗が使っていた呼び方だったがこの貝塚財閥代表取締役社長も赤鬼のエボⅢに憧れていた事があった為に今はこう呼んでいるそうだ、ただ今言う事でも無いか。
カラン「理事長先生、気持ちは嬉しいけど結果は変わりませんよ。俺達の負けです、このスープを飲み干してこその「勝利」なんですから。」
決して毎週講義を受けている理事長(結愛)の言葉を否定するつもりは無かったが結果は結果だと諦めるカラン、ただその隣にいたミルは残りたった数秒でもまだやる気だった様で・・・。
ミル「まだ早いよ、3分も残っているんだからやれるだけやってから言おうよ。」
弟が言っているのは間違いなく正論だ、折角ギブアップもせずにここまで来たんだから最後まで戦い続けようとしていたのだ。
渚「あんた達・・・。」
正に「敵ながら天晴」と言わせる位の感動を与えていた、渚までをも感動させるとは。
渚「そこまでしてまで車が欲しかったのかい・・・?」
そっちかいな!!
というか今思い出したんだが2人ってもう既に車を持ってたんじゃ無いのか?ほら、「お風呂山」で渚に貸そうとしてたはずだけど。
光「そうだよ、もう持ってるはずなんだからこんな事する必要無かったんじゃないの?」
ミル「いや光さん、良いんだよ。欲しかったのは事実だからさ。」
カラン「あの時は「俺達の車」って言ったけど本当はレンタカーだったんだ、だから俺達自身で所有出来る物が欲しかったのさ。」
車に関しては分かった、ただ免許の話はどうだったんだ(それより余裕があるって言うならスープを飲んだらどうなんだよ)?
ミル「魔獣保護養育施設の方々のお陰で「普通免許」は持っていたんだけど大学を卒業して就職しようとしている会社の募集要項に「中型免許要」って書かれていたんだ、だから今度からまた教習所に通う事になってて。」
どうやらしっかりと働いて自分達を助けてくれた転生者達に恩義を返すつもりでいた様だ、「偉い偉い」と言いたいが疑問があった者が約1名。
結愛「待てよ、何となくおかしく無いか?料理科を卒業して働こうとしている企業でどうして「中型免許」が必要になっているんだよ。」
結愛が1人頭を悩ませている横で必死にスープに挑む兄弟、そして・・・。
2人「ご馳走様でしたー!!」
渚「食べちゃったよ、これは2人専用のメニューにして新しい物を考えた方が良いかもね。」
2人「渚さん・・・、勘弁してよ!!次は美味しい物を食べたいって!!」
渚「何だい、これは美味しく無かったってのかい?」
味わう余裕などなかったはず




