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いい加減に水飲めよ
-509 同情の先に-
渚が麺を追加してから数分が経過した、兄弟はやっとの思いで麺を食べ終えた様だが何処となく様子がおかしかった(この期に及んでまだ仕掛けを施していると言うのだろうか)。
ミル「兄ちゃん・・・、そろそろ良いんじゃねぇか?でないと舌が限界だぜ?」
自分の事だけではなく兄の事をも心配する弟、その様子から「本当に仲が良いんだな」と感心させられてしまう(と言うか「兄ちゃん」と「兄貴」のどちらで呼ぶかハッキリしておかんかい)。
カラン「そうだな、水を飲まなきゃ喉も痛くなって来たしな。」
ミル「本当は牛乳が1番良いんだが・・・、駄目だよな?」
対決開始直前に渚が言った言葉を思い出したミル、ただ飲む事に関しては問題無いはずだが?
渚「あんた達・・・、拉麺を作った私が言うのも何だけどいい加減に水飲んだらどうなんだい。流石に心配になって来たよ。」
先程まで「本気で行く」とずっと言っていたというのにどういう風の吹き回しなのだろうか、もしかして勝利を確信したが故の余裕というやつか?
光「お母さん・・・、やっぱり2人の事をちゃんと考えていたんじゃない。」
渚「そりゃそうさね、私だって人殺しになるつもりは無いからね。」
正直「あそこの拉麺を食った人が死んだ」なんて事になってしまったら食中毒を疑われかねない、それだけは絶対に避けたいと普段から最新の注意を払っているのに別の理由で死者を出してしまうと元も子もない。「辛すぎて死にそう」という台詞を聞いた事は偶にあるけどその度に「そんな訳が無いだろう」と笑い飛ばされる事が多い、実際に死者が出たことは無いので安心したいが何となくこの対決はこのままで決着し無さそうなイメージがある(イメージだけで済んだら良いんだけど)。
そんな中、我慢が出来なくなったカランはすぐ傍に置かれていた水の入ったグラスとピッチャーに手を延ばして一気に煽った(普通はそうなるわな)。すると・・・。
カラン「ぶーー!!」
異変を感じたのか、兄は煽った水を一気に噴き出してしまった(因みにミルやお客さんのいない方向へと噴き出したのでご安心ください)。
ミル「何だよ、何があったって言うんだよ。何処からどう見てもただの水だぞ?」
カラン「そう思うなら・・・、お前も飲んでみろって・・・。」
涙目になりながら答えるカラン、まさか・・・。
ミル「ぶーー!!何だこれ!!」
つい先ほど見たばかりの光景がそこにあった(勿論カランやお客さんのいない方向へと噴き出したのでご安心ください)、それにしても渚は「ただの水」に何をしたと言うのか。
渚「いやいやいや、引っ掛かったね!!それは特製の山葵エキスを入れておいた水さね、2人が「早く水を飲みたい」という衝動に駆られると予測して仕掛けておいたのさ。」
何て奴なんだ、2人の事を「心配していた」のがまさか演技だったとは。ただいくら「本気で行く」と言ったからって少しやり過ぎでは無いだろうか。
光「お母さん、水くらいちゃんとしたものをあげてよ。ほら、こっちをどうぞ。」
そう言いながら渋々とした様子で能力による水を与える光・・・、ん?ちょっと待てよ、それってまさかと思うが世に聞く『聖水』って奴じゃねぇのか?
光「そうだけど、何か問題でも?」
問題大ありだよ!!ケルベロスだぞ・・・、どう考えても暗黒系・・・、ってあれぇ?
カラン「ありがてぇありがてぇ・・・、こんなに水が美味いと思わなかったぜ・・・。」
そうか・・・、種族(と言うか属性)なんてあって無い様な世界だから関係無いのか。
渚「嫌だね・・・、創造主のあんたが忘れちゃ駄目だって。」
その前に原因を作ったのはあんただろ




