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深く深く思い悩む珠洲田。


-㊿ 社長の相談-


 好美達に気付いていないからか、珠洲田はずっと頭を抱えていた。


好美「おじさん、何かあった?」


 好美がこの世界に来てから結構な年月が経過しているが故に、2人の仲は皆の想像以上に良くなっていた。勿論ビジネスパートナーとして、そして同じ転生者の仲間として。


好美「おじさん、大丈夫?!」

珠洲田「ああ好美ちゃんか、ごめんごめん。何かあったかい?」

好美「それはこっちの台詞だよ、どうかしたの?」


 好美達が店に入って来てからずっと不安げな顔をしていた珠洲田。


珠洲田「別に大した事は無いんだ、少し考え事をしていただけさ。」

好美「大した事だってこと位はおじさんの顔を見たら分かるよ、私達で良かったら話して見て。出来る事があったら力になるからさ。」


 好美の頼もしい言葉と表情に安心したのか、珠洲田は重い口をやっと開いた。


珠洲田「実は・・・、この前結愛ちゃんが来たんだけど。」

好美「結愛が?そんなのよくある事じゃん。」

珠洲田「いつもならね、でも今回はただ事じゃないんだ。」


 店主はこう語っていた、数日前の昼過ぎ、珠洲田が昼食を終えて店先で煙草を燻らせていた時の事だ。


珠洲田(当時)「あれ?結愛ちゃんじゃないか、また車でも探しに来たのか?」

結愛(当時)「いや、今日は別件なんだ。少し時間はあるか?」


 もう定番と言っても過言ではないパンツスーツに身を包んだ結愛が珍しく何処か浮かない表情をしていた事から、結愛の心中を察した珠洲田。


珠洲田(当時)「ちょっと待ってな。」


 結愛が珈琲が苦手だという事をちゃんと覚えていた珠洲田は、目の前の社長用に用意していたオレンジジュースをグラスに注いで差し出した。


挿絵(By みてみん)


結愛(当時)「悪いな、頂くよ。」


 この日の結愛は大財閥の社長としてバリバリ働くいつものものとは全くもって逆の表情をしていた、正直こんな事は珠洲田にとって初めての事だった。


珠洲田(当時)「それで?何があった?」

結愛(当時)「実はこの前、休みの日に散歩していた時なんだけどよ。好美のマンションにダンラルタから来たっぽい鳥獣人族の人が引っ越して来てたのを見たんだ。」

珠洲田(当時)「相変わらず、あのマンションは人気だな、それで?」

結愛(当時)「その人さ、免許持って無いからか荷物を数体のグリフォンやコッカトリスの背に乗せて運んでいたんだ。」


 ネフェテルサやバルファイに比べて、まだ自動車の普及率が低いダンラルタでは運転免許を持っている住民がまだ少なかった。


結愛(当時)「そこで考えたんだけどよ、3国間での引越しや配達を手伝う運送業者を始めようと思ったんだよ。」

珠洲田(当時)「良いじゃねぇか、やってみろよ。」


 しかし、珠洲田が思う程簡単な物では無かった。


結愛(当時)「やるのは良いけど、それなりに車の台数と人員が必要になるだろう。」


 確かに、この世界の住民の殆どが「軽トラ限定」の免許しか持っておらず、日本で言う「普通免許」の所有者は街中に住む数少ない人数だけだったのだ。


結愛(当時)「せめて、「中型」を持っている人が1人でもいたらな・・・。」


 この世界では「中型」を持っているのは珠洲田に渚や真希子、そしてネフェテルサ警察の林田署長位だ。無理矢理仕事を辞めさせて引き抜く訳にもいかないと結愛は悩んでいた。


好美「何だ・・・、そんな事?」


どうして好美は楽観的になったのだろうか。

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