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502

本当にお客さんに提供する用に試作をしているのだろうか・・・


-502 完成-


 結構な時間が経過した挙句に数名の被害者(唐辛子臭に耐え切れなくなりその場から逃亡したお客さん達)を出してしまったが遂に渚の試作品(と言う名の生き地獄)が完成した、いや「完成してしまった」といった表現の方が合っているのかも知れない。創造主(作者)の俺が言って良いのか分からないが、これを食った兄弟ケルベロスに何があっても知らないからな(ネルパオン強制収容所行にはならないと思うけど)。


渚「フフフ・・・、遂に完成したよ・・・。こういうのを一度作ってみたかったんだ、お待たせして悪かったね。」


 待たせた事よりかなりの唐辛子臭を巻き散らかした事を謝罪すべきなのでは無いかとそこにいた全員が思っていた、臭いにより「目が痛くなって来た」と言う人達も少なくは無かったからだ。まだ試作品の状態の様なので一安心してはいるが(しちゃ駄目かも知れない)、確実に改良(いや改善)の必要があると言いたくなってくる。


渚「光、すまないけどカセットコンロを出してくれるかね?」

光「カセットコンロ?そんなのこの屋台に積んでいるの?」


 どうやらこの「暴徒の鱗 2号車」では通常メニューに加えて渚特製の「辛辛焼きそば」や「辛辛定食」、そしてピューア(いや本当は俺)が考案した「バカ辛鍋」といったとにかく辛い料理を食べてスタミナを付けたいお客さんの為のメニューが豊富となっている様だ。その方々が近頃「熱々の状態でずっと食べ続ける事は出来ないだろうか」と渚に尋ねて来た様で、その為の工夫として土鍋やカセットコンロを積んでいるらしい。しかし別の問題が発生したいたみたいだ、狭い車内でよくある「あの問題」。


光「お母さん・・・、何処にあるってのよ。何処からどう見ても拉麺屋台の道具しか無いじゃない。」

渚「この子ったら・・・。目線をそこから上に向かって「パーン」すれば麺を入れている棚の上に置いてあるだろう、念の為に固定しているからそれを外してから出すんだよ。」


 何処かで聞いた事のある表現な気がするが今は気にしない方が良いのかも知れない、何となく擬音があった方が分かりやすい気がするからだ(やはり関西人(と言っても四国)だからか)。


光「「目線を「パーン」」ね・・・、あった。これか。」


 母の言った通りにやってみると本当にカセットコンロが置かれていた、移動による揺れや落下の防止の為に取り付けられた固定具を外してカランとミルの待つテーブル席(いつの間に出したんだよ)へと持って行く。渚の事だからてっきり「『アイテムボックス』から出せば良いじゃ無いか」と言うのかと思ったがちゃんと用意していたんだな。


渚「あらま、それがあったね。完全に忘れていたよ。」


 忘れてたんかい、まぁ別に構わないけど。


光「こちら失礼します、もうすぐ来るからちょっと待っててね。」


 光がカセットコンロを設置した時、兄弟の表情は「空腹に耐えている」というよりは「恐怖に慄いている」という方が正しい物だった。


カラン「お姉さん・・・、俺達本当に今からあれを食うの?」


 ブルブルと震えるケルベロスの言葉を聞いて少し悪ノリをしたくなった光、やはり目覚めてしまった「S」は相当の物だと言えよう。


光「あら?ビビっちゃってんの?今更逃げる気?」


 おいおい・・・、それだと完全に挑発になっちまうぞ。2人の事を煽ってんじゃねぇよ。


ミル「そ、そんな事ねぇもん・・・!!完食してやろうじゃねぇか!!」

カラン「お前随分とやる気だな、でもここで引いたら男が廃るもんな。」


 この世界ではよくある事になってしまっているが「そんな表現をどこで覚えたんだ」と聞きたくなるこの現象、まぁこれもビクター・ラルーによるものと思えば納得がいく。


渚「よし、完成・・・。光、火は点いてるかい?」

光「いや、鍋載せてからでも良いかと思ってまだだけど点けた方が良い?」

渚「そうだね、熱々のまま提供したいから点けてくれるかい?」


挿絵(By みてみん)


 渚は出来たばかりの料理を屋台から運び出して兄弟の下へ向かった、さぁどうなる!!


頼むから殺すのだけはやめてくれよ?

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