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501

好奇心旺盛なのは認めるが・・・


-501 悪ノリはやめておいた方が良いかも知れない-


 これは本当に偶然だったのだが守が肉屋での仕事を終えて帰宅したと同時に自らが所有する「暴徒の鱗 ビル下店」での手伝いを済ませた好美、実は店を手伝う傍らでずっと渚の事を『探知』していた様で「何が出来上がるのか」が気になって仕方なかった為に100%興味本位で一緒に来たとの事だ。


渚「好美ちゃんも抜かりないね、まだ研究中の試作段階なんだよ?」

好美「でも「暴徒の鱗」全体の新メニューになる可能性だって十分あるでしょ、今の内からどんな物なのかを見ておかなきゃいけないじゃ無いですか。」


 「流石はいち店舗のオーナーだな」と褒める人もちらほらいたがよく考えてみれば「こんなとんでもない物を店で提供するつもりかよ」と顔が蒼くなって来てしまいそうで怖かった様な気もする、何となくだがこれを厨房で作る場面を想像するとデルアやイャンダが可哀想に思えてくる様なそうでも無い様な。


挿絵(By みてみん)


好美「いやいや、店での通常時に提供する場合だったらここまで辛くする訳にはいかないでしょ。1日に何人死者を出すつもりなの?」


 好美が冗談半分で言った「死者」という言葉に先程以上に怖くなって来た兄弟ケルベロス、ハッキリと言うが逃げるなら今の内だぞ?


カラン「「逃げる」だって?!そんな事する訳が無いだろう、なぁミル?」

ミル「も・・・、勿論だ。まだまだ辛さが足らない位だよ。」


 不幸にも(?)弟が負け惜しみの様に言った「まだまだ辛さが足らない」という言葉が赤鬼レッドデーモンの耳に届いてしまったらしく、屋台の店主はこっそりとだが唐辛子の粉末を少量加えた様だ(少量と言っても使っているのがトリニダート・スコーピオンとブート・ジョロキアなので相当辛くなったのではなかろうか)。


光「お母さんって本当に容赦ないね、本当にそれで勝負する訳?」

渚「馬鹿だね、そんな事言っちゃったら私の行動がバレるだろう?」

光「いやいや、流石にこれは無いって。もしも2人が食べれなかったらどうするの?これ結構片付け大変そうだけど?」

渚「逆に「辛さを足さなかったから完食されちゃった」ってなりたくないだろう、これは勝負なんだから私だって本気マジで行かせて貰うって決めてんだよ。」


 何となく「本気マジ」の使い方を間違っている様なそうでも無い様な、まぁ俺が気にしても仕方が無いか。


渚「さてと・・・、そろそろ仕上げに入るかね・・・。」


 渚はそう言うと冷蔵庫から叉焼の入ったタッパを取り出した、光が蓋を開けてみると予想通りだったが中の叉焼も真っ赤になっていた。


光「本当に容赦ないな・・・、これにもまさか・・・。」


 母娘の目が合うと母は腕を組んで顔をニヤケつかせていた、そして娘の目の前でサムズアップをして見せた。


渚「当然さね、トリニダート・スコーピオンとブート・ジョロキアをたっぷり使った漬けダレに数日は漬けておいちゃからね。かなり染み込んでいるよ・・・。」


 味の基本となるベースは店で出す叉焼と同じ拉麺の醤油ダレなのだが渚が大量の唐辛子を加えてアレンジしたので醤油の味が全くしなくなってしまっている、店の者が店の味を壊して良い物なのかと疑問に思ってしまうが今はそれ所では無い(多分、いやマジで)。勿論(?)その叉焼も炙って提供する様なので辛さが増しているのは言うまでも無い、「脂がとろけて美味そう」と思う余裕を全く感じさせない


光「本当に殺す気でいるんじゃないよね、これ商売でやるんだよね?」

渚「やっぱり作る方も大変だから食べる場合はそれなりの覚悟を持って来て貰わないとね。」

光「多分ね、これ目的で来る人はいないと思うよ・・・。」


 土鍋の中は「料理が出来上がっている」というより「生き地獄が広がっている」という表現の方が正しい様な状況だった、もしも渚が「店の宣伝も兼ねている」と言うなら「失敗しているぞ」と全否定しても良いとも思ってしまう。


渚「叉焼を乗せて、糸唐辛子をふんわりとかけたら完成っと・・・。」

光「やっとできたんだね、これ食べれる人いんのかな・・・。」

渚「あ・・・、上からパウダーをかけるの忘れてた。」

光「嘘でしょ、まだ辛くすんの?!」


バカなの?!

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