500
激辛ねぇ・・・
-500 本気かどうか-
やっと対決の内容を理解して「ポカン・・・」と立ちすくすばかりの周囲の者達を横目に渚は調理を段々と進めて行った(と言っても前もって準備しておいた材料を鍋にぶち込んで火を加えていくだけなんだが)、数人は「予想通りだな」と感じていた様だが時間が経つにつれて先程まで店内で漂っていた物以上の唐辛子臭がしていた。
渚「やっぱり「(元の)世界一の唐辛子」は違うね、ゴーグルを付けているのに目への刺激が凄いよ。」
改めて言う事でも無いがが渚含む転生者達は『状態異常無効』の能力を持っているので正直今の言葉が本当なのか演技なのかが分からない、ただ「(元の)世界一」という言葉が臭いの強さを強調していた。
光「お母さん・・・、そんな代物をお客さんに提供するつもりなの?目への刺激が強い物を口に入れさせるの?」
放たれた台詞だけを聞いていると娘が母の心を改めようとしている様に思えるが光の顔がニヤついているので「ただのSっ気から出た言葉だな」と呆れてしまいそうになっているのは俺だけだろうか。
渚「案外「嫌いじゃない」って顔しているじゃ無いか、本当はこういう事好きなんだろ?」
光「分かっているじゃん、やっぱり私のお母さんだよね?」
正しく「蛙の子は蛙」、いや「遺伝」と言うか何と言うか・・・。
それはさておき、渚の使用しているコンロには先程と違って土鍋が置かれていた。
光「流石はお母さんだよね、熱々で提供するだなんてさ。」
渚「そりゃそうさね、熱さは辛さを強調してくれるからね。」
何てこったい、この母娘完全な「ドSキャラ」に目覚めちゃってるよ。女王様キャラとかやったらどうなるんだろうね、結構ガチで(別にフってる訳じゃじゃねぇよ?)。
ただこの温暖な世界で提供するのが「土鍋での激辛料理」とは、敢えて聞くけどこれは我慢比べを兼ねてる訳じゃねぇよな?
カラン「ミル・・・、俺達生きて帰れるよな?」
どうやら想像以上の臭いが漂ってきたので段々不安になって来た兄・カラン。
ミル「大丈夫だって、俺達はどんな料理にも唐辛子を大量に振りまくってるだろ?辛さへの耐性は誰よりも強いはずだぜ?」
おいミル、それだと「励まし」というより完全なる「フリ」だからリタイアする事を前提としている様なもんだぞ?
そんな中でも未だに興奮が冷めない渚、それどころか先程以上になってきている様な・・・。
渚「光・・・、もうすぐ完成だよ・・・。良い赤じゃ無いか、ねぇ・・・?」
光「お母さん・・・、流石に興奮しすぎじゃない?私でも引くわ。」
どうやら「ドSレベル」は渚の方が圧倒的に上の様だ、「流石は赤鬼」と言った所か。
渚「あんた達、麺の硬さはどうするんだい?」
どうやら渚が作っているのは拉麺の様な料理みたいだが今はそれ所じゃ無い様な気がする、きっと兄弟も同じ事を考えているだろう(と信じたい)。
カラン「か、固さ・・・?固めが嬉しいかな・・・、なぁミル?」
ミル「そうだな、俺達はモチモチとした歯応えのある麵が好きだからな。何て言うのかな、「アルデンテ」ってやつ?」
カラン「そうそう、俺も好きなんだよ。「中心に芯が残る状態」のやつな?」
おいおいお前ら、それパスタだろうがよ。まさかと思うがさっきから漂っている唐辛子臭で緊張しているんじゃ無いだろうな?
カラン「そんな訳無いだろう?俺達一応上級なんだぜ?」
ただその言葉の説得力が無くなる位に顔を引きつらせるカランを見て笑う者が2人、「暴徒の鱗 ビル下店」のオーナーを含むあいつら(いつからいたんだよ)。
好美「大丈夫だって2人共、あれは本気の顔じゃ無いから(多分)。」
守「流石に商売だからお客さんが食べやすい様に少しは加減するはずだろ(多分)。」
いや、今の渚はただの「ドS」だぞ?
 




