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これはタダで済まない流れだが・・・?
-491 親しき中にも礼儀あり-
「赤鬼」が再会の感動に浸っている横で1人顔をしかめる者が1人、おそらく(いや間違いなく)この世界で最も渚の事を理解しているからが故だと推測されるが何か引っかかる事でもあったと言うのだろうか。
光(当時)「お母さん、さっき「良い事を聞いた」って言ってたけどまたろくでもない事を考えているんじゃ無いでしょうね。」
渚(当時)「あんたったら何だい、母親の事を何だと思ってんだい。」
たった一瞬だったが光は母のニヤケ顔を決して見逃さなかった、そして咄嗟も無い言動に巻き込まれた過去を思い出していた。
光(当時)「まさかと思うけど好美ちゃんが買ったビルをマンションや店舗に作り変えた時を忘れたって訳じゃ無いでしょうね、殆ど私の魔力でやったから結構疲れたんだからね。」
渚(当時)「あの時はちゃんとお詫びをしたじゃ無いか、ビールをケースで買い与えたしラリーさんに有給の連絡をしたのは私だよ?」
光(当時)「だからって今回も私を巻き込むのはやめてよね、何を企んでいるのか知らないけど。」
渚(当時)「なんて失礼な子だい、親の顔を見てみたいよ。」
他の誰でも無いあんただろうが。
まぁそれは良いとして、兄弟の事はほったらかしで良いんですか?
渚(当時)「そうだったよ、そう言えばあんた達はここにどうやって来たんだい?」
カラン(当時)「普通に・・・、走ってだけど。」
ミル(当時)「そうだね、偶には運動しないと体が訛って来るからね。」
今は『人化』していても元々は魔獣・ケルベロス、やはり足の速さには自信があった様だが・・・?
渚(当時)「でも2人って今度から教習所に通って免許を取れたら2人で乗る用の車を買おうとしてんじゃないのかい?」
カラン(当時)「何で知ってんの、渚さんに話したっけ?」
渚(当時)「まぁ先ずは人の話を聞きなって、あんた達に朗報をあげようと思っていてね。」
なかなか用件をすぐに言わない渚、そこまで引っ張る程の価値がある話とは一体何なのだろうか。
ミル(当時)「「朗報」って?」
渚(当時)「食らいついたね、あんた達はこの車が欲しく無いかい?」
そう言うと突如1台のスポーツカーを出現させた渚、何処かから『転送』させたか?
カラン(当時)「乗って良いの?」
ただやはり黙っていないのがこの人、と言うより誰だってこうなると思うけど・・・。
光(当時)「お母さん、この車何処から持って来たの!!まさか人の物を『転送』で勝手に持って来た訳じゃ無いよね?!」
渚(当時)「さっきもそうだけどあんたって失礼な子だね、そんな訳が無いだろう。人の話は最後まで聞くもんだよ。」
渚の言った事は正しい、話の全容を知らないまま勝手に進めるのは良くない。しかし食らいついてしまった光もこのまま引き下がる訳にもいかない、ただ今は口喧嘩をしている場合じゃ無いと思うんだが?
光(当時)「そう言うなら聞こうじゃ無いの、この車はどうしたっての?!」
渚(当時)「「少し古い車だけどセカンドカーにどうだ」ってスーさんに貰ったんだよ、でも私にはエボⅢがあるから一先ず『アイテムボックス』に入れてたの!!」
娘は珍しく真剣な(?)母の目を見た上でこういう時の為に結愛に『付与』して貰った『虚偽判定』を使ってみる事に、どうやら嘘は言ってない様だ。
光(当時)「分かったよ・・・、それでその貰い物をどうするつもり?」
渚(当時)「貰い物で悪いけどこの子達に譲ろうと思ってね、ずっと『アイテムボックス』で眠らせておくより2人に乗って貰う方が車も喜ぶと思うんだよ。」
これもまた珍しく良い事を言う渚、正直台風を到来させるのだけは勘弁して欲しい。
渚(当時)「でも無条件って訳にはいかないよ、そこで私と一勝負しないかい?」
何をする気だよ・・・




