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失言はする物では無い
-484 6色の流星群-
兎にも角にも礼を欠いてしまった貝塚財閥代表取締役社長は女将(お姉さん)に詫びて眼前に広がる何だか騒々しい光景について尋ねてみる事に、今度はちゃんと丁寧に尋ねて欲しい訳だが大丈夫なのだろうか・・・(決してフリでは無い事を御理解頂きたい)。
結愛「おば・・・、いやお姉さん。少々お尋ねしても宜しいですか?」
ルイズ(当時)「何だい、急に余所余所しくされると気持ち悪いじゃ無いか。今まで通り「女将さん」で構わないよ。」
いつもの結愛なら「いやさっきあんたが「お姉さんでしょうが」って言ったんだろ」と指摘する場面なんだが流石に結構な位年上の方には言い辛かった様だ、でも本人自身「私はまだ20代(いや200代?)」と言いだしそうな勢いなのでやめておいた方が身のためと思われる。
結愛(当時)「えっと・・・、女将さん。今日何かイベントでもあるの?」
ルイズ(当時)「あらま、社長さんともあろう方が知らないとは意外だね。今日は有名な走り屋達が勢ぞろいするからその技を一目見ようと3国中の走り屋達が揃ってんだよ。」
改めてナンバープレートをよく見てみると「ネ(ネフェテルサ)」だけでは無く「バ(バルファイ)」や「ダ(ダンラルタ)」と表記された車両が何台か走っていた、きっとこれも渚の活躍を見た住民達が憧れを持った影響だと推測出来る。
結愛(当時)「全然知らなかったな・・・、「有名な走り屋達が勢ぞろいする」って言ってたけどそんなに何人もいる訳?」
やはり結愛の記憶の中での「有名な走り屋」と言えば渚と真希子の2人だけの様だが違うとの事、世界が違えばそこも変わって来るのね。
ヒドゥラ(当時)「もしかしてだけど・・・、「6色の流星群」の事?」
結愛(当時)「ヒドゥ、お前知ってんのか?」
ヒドゥラ「噂に聞いただけよ、実際に目にしたことは無いから誰なのかは知らないけど。」
「噂」は「噂」なので間違っているまま知ってしまっている可能性も否定できない、2人は情報を確信的な物にする為に改めて女将に聞いてみる事にした。
ルイズ(当時)「2人は「赤鬼(レッドデーモン・渚)」と「紫武者(パープルナイト・真希子)」という有名人達の事は知っているだろう?その2人と2人の下に集った4人の弟子たちのグループが巷で「6色の流星群」って呼ばれているんだよ、「6人が各々違う色の車に乗っているから」って言うのが名前の由来だそうだ。」
結愛(当時)「ふ~ん・・・、「有名人」の「5色の流星群」か・・・。」
結愛は自分も結構な「有名人」なのでその響きに余り食らいつきはしなかったが「全くもって興味が無い」と言えば嘘になっていた様だ。
ルイズ(当時)「それでね、その6人が今日「お風呂山」の頂上に出現するって情報を得た数人を中心に集まったのがこの騒ぎって訳。全く・・・、騒がしいったらありゃしないよ。」
女将が言う様に静かな雰囲気でゆっくりとお湯を楽しみたくてこの場所に来るお客さんも少なくは無い、流石にこのままだと商売になりそうにないのが正直な意見。
結愛(当時)「はぁ・・・、おば様も色々と有名になったもんだな・・・。この世界を騒がせていると言うか何と言うか・・・。」
ヒドゥラ(当時)「でもさ、人違いって可能性も無くは無いじゃない?取り敢えずもう1度だけ見てみましょうよ。」
先程アーク・エルフの口から「赤鬼」と「紫武者」という言葉が出たのは確かな事実、それに秘書による先程の発言を忘れた訳でも無い(少なくとも俺自身は)。
取り敢えず2人は再び外の公道を走る数々の車を見てみる事に、相も変わらず一際目立つLX-7(デカい車)の運転席を注視してみると・・・。
結愛(当時)「あれは・・・、おば様だな・・・。」
ヒドゥラ(当時)「間違いないわね、おば様だわ・・・。」
元の世界にいた頃と同様にコーナーを攻めていたらしいので目を凝らさないと確認できない位の速さだったのだが、その姿は何処からどう見ても2人がよく知っている筆頭株主(おば様)だった様だ。
結愛(当時)「もう・・・、何が何だか・・・。」
やっぱりね・・・




