480
やっちゃったね・・・。
-480 あらら・・・-
どう考えても『アイテムボックス』内の赤ワインを呑む時の肴にしようとしていた事がバレてしまった貝塚財閥代表取締役社長は隠し持っていた(?)サーロインをため息をつきながらステーキの厚さへとカットしていた、ただやはり「自分もちょっと食べたい」という気持ちがあった事が速攻でバレてしまった(とても単純な理由で)。
好美「結ちゃん、少しケチってない?何となくだけど薄く見えるんだけど。」
やはり「致し方ない」と思っていても「自分へのご褒美」を楽しめないのは誰にだって辛い、それは大企業の社長とて同じ事だった様だ。
結愛「き・・・、気の所為だって。少し薄めにした方が火の通りが良いんだよ。」
それなりの理由を付けていたみたいだが貝塚兄妹を実の親の様に育てた(つもりの)筆頭株主には全てがバレていた様で・・・。
真希子「結ちゃん、ちょっと測って見ても良いかい?」
チラリと見ただけだが「流石に少ないのでは無いか」と不審に思う真希子、ただ結愛が自分の手元にあるお肉を惜しいと思うのにはそれなりの理由があった。
マルウ「確かそれって・・・、先日うちの店でご予約されて買ったサーロインでは無かったですか?」
そう、このサーロインは結愛がケデール(いや今は空気を読んでマルウ)の店で特別にお取り寄せを頼んだ物だった。ただこういった物を隠し持っている事がバレてしまうと光明が黙ってはいない・・・、はず。
好美「でも結ちゃん、これの事は光明さんに言っておかなくても良いの?まさかと思うけど・・・、違うよね?」
サラッと軽く使える程「結ちゃん」と言う呼び方にもう慣れてしまった好美、ただ後半の一言には何となく重みがあった様な無かった様な・・・。
結愛「待てよ、俺がいつ独り占めするなんて言ったんだよ!!」
好美「やっぱりそうだったんだ、私「独り占めする」なんて言ってないもん!!」
再び「図星確定」、しかしながら結愛には長い間休みが無かったので仕方なかったのかも知れない。ただそんな社長を「ほんの少し追い込んで見ようか」という悪戯心で横から首を突っ込む者が約1名。
マルウ「でも社長さん、本当に良かったんですか?そのお肉って普段ウチで扱っている物の倍以上の値段がする物だったのでは?」
傍らから見ていた俺からはウィッチ自身に悪気があった事は明らかだったのだが、それがバレない様に演技しながら(?)質問していたとの事で・・・。
結愛「マルウさんまで何を仰っていいるんですかね、俺がそんな高級品を買えるような人間に見えますか?」
マルウ「そこは流石に社長さんですからそれなりに景気が良いはずなのでは?」
実はこのサーロイン、マルウが今言った通り普段店で販売している牛肉(100g 980円)に比べるとかなり値が張る一品だったのだ(因みに100g 2980円)。
好美「ちょっと!!そんなお肉を1日で、しかも1人で食べようとしていただなんて流石に酷いんじゃない?!」
結愛「誰がそんな事言ったんだよ、ちゃんと光明にもお裾分けするに決まっているだろう?光明あっての貝塚財閥だぞ?!」
元々そんなつもりは微塵も無かったのに周囲から責められて致し方なく「お裾分けする」と言ったネクロマンサー、ただそれ所では無い事態が発生していた様だ。
真希子「でも結ちゃん、もう1人前も残っていないんじゃないのかい?」
「普段は拝む事も出来ない高級なステーキ肉を気軽に食べることが出来る」と聞いた周辺住民が殺到した為に結愛の「自分へのご褒美」は跡形もなくなっていた、ただ理由はそれだけでは無かったらしい。
好美「「サーロインステーキ 150g」1枚1580円です、毎度どうも!!」
結愛「おい、好美!!それだと大赤字じゃねぇかよ・・・!!」
可哀想・・・
 




