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滅茶苦茶な奴だな、全く・・・
-479 それは違うんじゃ無いの?-
突如やって来た「トッピング(カスタム)」の注文に焦りの表情を見せていた貝塚財閥代表取締役社長がお客さんの指し示した方向を見ると、(本人の記憶が正しければ)今現在ネフェテルサ王国にある肉屋横の養豚場の前で恋人の服を無理矢理脱がそうとした上で何故かその店の店主を巻き込んでの喧嘩に発展しかけているはずの「あの人」の姿があった。
あの人「いらっしゃいませー、美味しい豚玉は如何ですか?お客様のご要望に応じてトッピング等のカスタマイズもお受けいたしますよ!!」
俺自身も「何となくそうなんだろうな」と思っていたがやはり「あの人」だった様だ、十分やり得る奴だよな・・・。
結愛「こ、好美・・・!!何でいるんだよ!!お前は守ん所にいたんじゃねぇのかよ!!」
好美「だってー、さっきから3人の事『探知』してたら何か楽しそうだと思ったんだもん。特に研修でこっちに来ているはずのピューアも参加しているから私もと思ったの。」
どうやら肉屋にいるのがつまらなくなってきたらしく、気分を変えようとこっちに来たらしい。
結愛「だからって勝手に「カスタム」の注文を受けてんじゃねぇよ、焦るだろうが!!」
好美「だってー、やる事なかったんだもん・・・。」
しかし事態は「カスタム」所の問題では無くなって来た、先程のお客さんの後ろで待っている女性客の発言に一同は驚きを隠せなかった。
女性客「ちょっと、私のサーロインステーキはまだなの?」
結愛「サ・・・、サーロインステーキですって?!」
女性客「いや、そこの子に言ったら「お待ちください」って注文受けてくれたんだけど。」
「まさかこれもか・・・」と思った結愛が好美の方を向くと、目線の先で好美はかなり下手くそな口笛を吹いていた。
結愛「おい好美・・・、メインが変わってねぇか?」
好美「だってー、鉄板で焼いたステーキって美味しいじゃん。」
結愛「それは分かるけどさ・・・、それだとお好み焼き屋じゃ無くて鉄板焼き屋になっちまわねぇか?」
因みに全員が今いるのはそのどちらでも無くトンカツ屋である、まぁ改めて言う事じゃねぇが。
好美「ねぇ結ちゃん、出来ないの?」
いつの間にか好美まで社長の事を「結ちゃん」と呼び始めた様だ、やはりこれも『探知』していたが故だろうか。
結愛「ちょ・・・、ちょっと待てよ?」
いち社長としてお客さんからの要望に可能な限り応えようとする結愛、先程真希子が『作成』した『アイテムボックスモニター』が早速役に立った様だ。
そうこうしていると結愛の隣で一緒にモニターを見ていた好美が本人よりも早く「サーロイン」を見つけた、それにより結愛は焦りの表情を見せていた。
好美「ここにあるじゃん、「サーロイン4.5kgブロック」。これ使おうよ、ね?」
結愛「待てよ、それだけはちょっと・・・!!」
実はこの「サーロイン」、結愛が光明に内緒でこっそり貯めていたへそくりで買った物で今度自分へのご褒美としてこれを肴にワインを呑みまくろうとしていたらしい。
真希子「結ちゃん、随分と景気がいいみたいじゃ無いか。」
ずっと追加の生地を作っていた筆頭株主は2人の会話を決して聞き逃さなかった、やはりこの世界では下手な事を考えるのは良くないみたいだ。
結愛「お・・・、おば様!!嫌だなぁ・・・、これは後で皆で食べようと取ってあっただけですよ!!」
真希子「じゃあそこの「赤ワイン5本」ってのは何なんだい、そう言えばあんたって明日休みだったねぇ。」
結愛「ギクッ・・・。」
好美「これは「図星確定」だね。お客さん、もうすぐ出来ますのでお待ちください!!」
あはは・・・。




