472
遊び過ぎには注意・・・
-472 貴女は何を聞きたいの?-
真希子のすぐそばで『念話』を聞いていた店主の妻(因みにウィッチ)は「今に始まった事では無いか」とため息をつくばかりであった、ただ貝塚財閥の筆頭株主はその雰囲気を汲み取った様だが本人もちょこちょこネフェテルサ競艇場へと足を運ぶので「私も人の事を言えないか」と沈黙を保つことにしていた。
マルウ(念話)「あんたね・・・。」
「やはりマルウは妻として、いや経理を任されている者として店の金を持ち出した事を許してくれないだろう」と豚舎(そして恋人達)の前で再び土下座を敢行しようと座り始めていたのだが、狼男が妻から聞いた言葉は意外な者であった。
マルウ(念話)「それで父ちゃん、何を買ったと言うんだい。」
ケデール(念話)「え、えっと・・・、今何と仰いました?」
マルウ(念話)「「何を買った」かを聞いているんだ、店の金を持ち出した位なんだから相当自分の予想に自信があったレースだったんだろうね?」
旦那を責める妻のすぐ横で豚玉用の生地を作っていた真希子はウィッチの容姿を見てある事を思い出していた、その隣にいた結愛も同じ気持ちだったのであながち間違いではなさそうだが・・・?
ケデール(念話)「いや・・・、えっと・・・、数日前の6レースの舟券を・・・。」
マルウ(念話)「そうだろうね、今あんたが捨てたと思われる新聞を見ているけど6レースの所に「〇」印がついているもんね。」
よく見れば先程は何も持たず手ぶらだったはずのマルウの片手には数日前のスポーツ新聞が1部、真希子はその姿を見てやはり何かを思い出そうとしていた様だ。
真希子「この人・・・、何処かで・・・。」
結愛「おば様もですか、私も何処かで見た事があると思っていたんですよ。」
「この流れで競艇場以外ありえるのか?」と聞きたくなるが今はそれ所ではない、しかし『アイテムボックス』から取り出したスポーツ新聞を握りしめるその姿は2人の目にしっかりと焼き付いていた様だ。
真希子「結ちゃん・・・、まさかこの人・・・!!」
結愛「おば様、私も同じ人を思い浮かべました。きっとそうですよ、間違いありません!!」
2人で盛り上がっている所で申し訳ないんだけどこっちはマルウが一体どんな人なのかが全く見当がつかないんだが・・・、宜しければ教えて貰えるかな?
真希子「これはそう・・・、結ちゃんと偶然休みが合った日の事だよ・・・。」
突然だがライカンスロープが散財した数日前に遡る、「偶には趣味に興じよう」と2人はネフェテルサ競艇場でモーニングの1レースからずっと観戦していたとの事。
真希子(当時)「結ちゃん、久々の勝負だから気合い入れていくよ!!」
結愛(当時)「任せて下さいよ、今日は軍資金をたんまり持って来ましたから!!」
真希子(当時)「あんたね、それじゃ負ける気満々じゃ無いか。困った子だね。」
コーラを片手に出走表を強く握りしめて予想をし始める大企業の代表取締役社長と筆頭株主、因みに結愛は「おば様に呼び出されては断れない」と重役会議を光明に押し付けた形ですっぽかしてここにいる(本当に大丈夫か、貝塚財閥・・・)。
結愛(当時)「いや・・・、たまにこういう事する時は思いっ切った舟券を買ってみるのも良いかなって思うんですよ。」
真希子(当時)「気合は十分みたいだけどそれで負けたら元も子もないよ、それにその金は何処から持ち出したんだい?」
結愛(当時)「これ専用の口座からに決まっているじゃ無いですか、流石に会社の金には手出ししていませんよ!!」
因みに転生して来た時に全知全能の神であるビクター・ラルーから授けられた1京円にも手を全く出していない(競艇に関してはだが)、という事はここに来るために裏で色々と節約を行っているという事なのだろうか(社長らしからぬ行動の様な気がするが今はそっとしておこう)。
真希子(当時)「まぁ良いか、じゃあ気合入れて予想しますかね!!」
結愛(当時)「はい、おば様!!」
頼む・・・、頼むからその気合を仕事でも見せてくれ!!
おいおい・・・




