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葱焼きへの喰らい付きが凄い・・・
-461 予測できてただろ-
大量の生地を混ぜ終えた上級人魚が貝塚財閥代表取締役社長が作業の手伝いへと加わった時に鉄板の前には大勢のお客さんが並んでいた、ずっと外でお好み焼きの出来上がりを待っていたお客さんに混じる様に痺れを切らして店内での食事を終えた方々もちらほらといた。ただ双方共に大分待った様で葱焼きが出来上がった瞬間、食らいつく様に鉄板の前へと押し寄せていたので鉄板の周りに多数のお客さんが群がるのを避ける為に結愛は大量の紙皿とゴミ袋を『作成』して利用する事に(因みにゴミ箱は先程真希子が慣れないマジック(?)で使用した段ボール箱を再利用する事に)。
これは特に店内での食事を終えてから再び列へと並んでいるお客さんへと言える事なのだがどうしても「ここで食べ過ぎてしまうとメイン(豚玉)を食べることが出来なくなる」と思ってしまう俺がいた、ただ俺の心配を「知るか」と言わんばかりに出来上がったばかりの葱焼きに食らいつく方々がいたのでため息をつきそうにもなってしまっていた。
結愛「結構人気だな・・・、ピューが混ぜた生地が良かったからか?」
改めて言う事では無いのだが、テレビや雑誌の取材に引っ張りだこですっかり時の人となってしまっている大企業の社長が焼いている為に集まっているお客さんが少なくも無いと言っても過言では無いけれども結愛は自分の影響だという事に気付いていなかった様だ(その上に元々生地を混ぜていたのは確か真希子だった様な気がする)。
ピューア「あんたの焼き方が上手いからよ、やっぱりこういった事は転生者がやるのが1番だったりするんじゃない?」
ピューアは調理師免許を取得しているものの、元々「師匠(真希子)と同じ日本(別の世界)にいた結愛の方がやはり経験があるので上手く焼けるのではないか」と思っていた様だ。ただそれは完全な勘違いで結愛は日本にいた頃に鉄板でお好み焼きを焼いていたことは無かった、それどころか「まさかこの世界に来て鉄板でお好み焼きを焼く事になる」とは思ってもいなかったらしい。
結愛「そんな事ねぇよ、その証拠に俺が焼いたやつなんて少し焦げてるっぽいもん。」
よく見ると先程から結愛は数を稼ごうと一度に6枚もの葱焼きを焼こうとしているので、気配りが足らなかったからか所々焦げている様に思われた。それに対してお好み焼き自体に慣れていなかったピューアは丁寧な作業を心がけていたから焦げが比較的少なめに思えた、やはりどの様な時でも「初心忘るべからず」と言える(状況的にそうなんだもん)。
そんな中、お花摘みからやっと帰って来た驚きを隠せなかった様だ(無理も無いよな)。
真希子「ちょっと・・・、まだ1枚も焼いていないのにどうしてこんなにお客さんが群がってんだい。私がトイレに行っていた間に何があったと言うんだよ。」
あらら・・・、この人ったらプライバシー保護の観点から折角「お花摘み」って書いていたのに自分で「トイレに行っていた」と明かしちゃったよ(気遣い意味無し)。
結愛「おば様、呆然と立ち尽くしている時に申し訳ないんですけど早くお戻りいただけますかね?」
真希子「分かったけどあんた達・・・、いつの間に焼き始めていたんだい。確かまだ豚肉を切ってもいなかっただろう?」
「筆頭株主が席を離れていた間に切れていたのでは無いか」という意見も十分あり得ると思われるが鉄板の上に載っている物をよく見るとまだ豚肉の「ぶ」の字も無い事が分かるだろう、なので俺は一先ず静観する事に。
結愛「前菜代わりとして葱焼きを出していたんですよ、ずっと何も出ていない状態だったので我慢の出来なくなっていた方々もちらほらいましたので。」
真希子「だったら仕方が無いね、ここからは私が焼くからあんたは『アイテムボックス』に入っている豚バラを切ってな。」
ニクシーの師匠が作業を替わったが故に焼き上がりのクオリティが一気に上昇したと思われるが、真希子の「豚バラ」という言葉を聞いて「これで腹を満たしてはメインが食えない」と気付いたお客さんが出て来始めたので鉄板の周りから少し離れた所で食事を楽しむ方々が何人か出て来た。おいおい、それ俺が先に言ったじゃねぇかよ。え?「言ってないだろ」って?すんません・・・、ってさっきもそうだけど誰だよ!!
真希子「創造主さん、一人漫才は終わったかい?」
すみません、ご迷惑をお掛けしました・・・、って聞こえてたのかよ・・・。
結愛「まぁ良いじゃ無いですか、今に始まった事じゃなんですし。」
ピューア「あら珍しい、あんたったら創造主に優しいじゃない。」
結愛「いや違うんだよ、創造主って馬鹿だから何度言っても変わらないと思ってさ。」
おい!!




