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ガチだったの?それともボケだったの?
-454 多分異世界で最も無駄な時間②-
こちらの心配をよそに(?)まさか2人がお楽しみだったとは想像も付かなかった俺は「ただ目的の物が出て来れば別に良いと思うべきなんだろうな」と自分に言い聞かせるばかりであった、どうせ傍らから見ているだけの存在である俺の事に関しては「お前なんて知るか」と言われるのがベストなのかなと肩を落とす事しか出来なかった様な気がする。
真希子「あんた達ね、2人して創造主さんを落胆させるんじゃないよ。早くしないと駄目だろ、このままでは一向に話が進まないじゃ無いか。」
あら真希子さん、お優しいじゃ無いですか。ではお言葉に甘えさせて頂けますかね。
ただ俺も「まさか2人が山手線ゲームをやっていたとは」とポカンとなってしまう今日この頃、ただやっとツッコミを入れてくれる人物が出現した事に感謝するしか出来ない。
真希子「あのね2人共、山手線ゲームをやるならちゃんと手拍子付きでリズムよくやりなさい。スピードアップも忘れちゃ駄目だよ。」
いやそっちじゃないんですよ、「山手線ゲームをやる事」自体に肩を落としているんですけど・・・。えっと・・・、まさかと思いますけどこの事も「台本」とやらに書かれているんですかね。
真希子「いや、これに関しては2人がアドリブで始めちゃったんだよ。許しておくれ、この通りだから。」
まさか社長にとって高校時代から本当の母親の様に自分の事を可愛がってくれていた貝塚財閥の筆頭株主、そして上級人魚にとっての料理の師匠に頭を下げさせるとはあんたら2人共罪なもんだね・・・。
結愛「あのな、さっきから黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって!!」
ピューア「私達だって目的の物を思い出そうと必死だったんだから仕方ないでしょ、山手線ゲームをやっていたのは世に聞く「流れ」ってやつよ!!」
確かにあの空気で物事を思い出すのにはうってつけの方法だったのかも知れない、ただ日本(こっちの世界)に来た事も無いピューアの口から「山手線ゲーム」という言葉が出て来るとは・・・(そうは言っても何でもありの世界だから十分あり得る事か)。
ピューア「それで結愛、ちゃんと思い出せた訳?」
俺がそうだから察しがついている方々も少なくないと思うが、周囲にいるお客さんの中には2人が何を思い出そうと分かっている人達もちらほら出て来ているみたいだ。
結愛「嗚呼・・・、何となく思い出せた気がするよ。やっぱり持つべきものは友だよな。」
貝塚財閥代表取締役社長の言葉に「やっと食える」と安心したお客さんがいたりはしたが俺からすれば「本当か?」と疑いの目を持ってしまうは気の所為だろうか、一応確認をしておきたいんだけど大丈夫なのかな。
結愛「お前も疑り深い奴だな、どうして俺の事を信用できないんだよ。ちゃんと「思い出せた」って言っただろうが。」
いやあんた、さっき「何となく」って言ってた事まで忘れちゃっているじゃねぇか。
結愛「いちいちうるせぇ奴だな・・・、これだからなかなか話が進まないんだろうがよ。」
ピューア「いや結愛、一応私も確認させて欲しいんだけど。」
ピューアの言葉に数名のお客さん達が首を縦に振っていた、今回に限ってだが全くもって結愛は信用されていない様だ(確か貝塚財閥が最も大切にしているのが「信用(信頼)と実績」だった様な気がするがこの調子で大丈夫なのだろうか)。
結愛「ひでぇ言われっぷりだな・・・。えっと・・・、お越しくださっている皆様はご安心ください。こう見えてもちゃんと思い出せていますので。」
一先ずお客さん達を安心させようとする結愛、これが「お客様第一主義」という奴か。
真希子「それで?豚の脂の代わりに何を使おうってんだい。」
そうだよ、さっきからずっとそれが聞きたかったんだよ。「論より証拠」って言うんだからちゃんとした答えを聞かせておくれ。
結愛「えっと確か・・・、「ねぎま」だよな?」
ピューア「結愛の馬鹿、「鶏皮」でしょうが。この時間は一体何だったのよ・・・。」
俺が言いたいんだよ・・・




