452
改めて確認するような事かな・・・
-452 その確認は必要なのか・・・?-
俺と共に(?)貝塚財閥代表取締役夫妻が大きなため息をついて落胆するのを横目に真希子にはまだ秘策があった、よくよく考えなくても今自分達がいるのはトンカツ屋なので必ず「アレ」を使用するはずだ(因みに油に関しては先程ピューアが言った通りでこの日の夕方から夜にかけての時間にメラルークが贔屓にしている卸業者の方がトラックで運んでくる手筈になっている)。ハッキリ言おう、これが無いと「ここは何を売っている店なの?」と質問されてしまう可能性がある。
真希子「ピューちゃん、ここって豚ロースあるよね?」
ピューア「勿論じゃ無いですか、一応トンカツ屋ですよ?」
皆そうとは限らないと思われるが「トンカツと言えばロースじゃないか」と言う人が少なからずいるだろう(だって俺もそうだもん)、ただ周りからすれば「それがどうした」って話になる。
真希子「そうだよね、それじゃ豚ロースの脂はどうしているんだい?」
ピューア「父は袋に集めて業者に渡していると言っていましたがどうなさいました?」
師匠と弟子の会話を耳にした結愛は筆頭株主がどうしようとしているのかが分かった、ただ1つ引っ掛かる事が・・・。
結愛「おば様・・・、ちょっとよろしいですか?」
やはり義弘の魔の手から会社を救った恩人に先程「結愛ちゃんも言う様になったね」と言われたからが故か、気になる事があっても聞いても良いのかどうかを伺ってしまう結愛。
真希子「何だい、さっきみたいな勢いは何処に行ったんだい。」
結愛「すみません、やはりおば様に対してはどうしても気を遣ってしまうと言いますか・・・。」
自分が苦労して大きくした会社をたった一言で思った方向に傾かせてしまう人物に対して思わずたじろいでしまうのも無理は無い、やはりここは「言葉を選ぶ」という結愛の行動(若しくは選択)が正しいとしか言いようがない。
真希子「まぁ良いけど、何かあったのかい?」
結愛「つかぬ事をお伺いしますが、おば様は豚玉を作られるおつもりですか?」
真希子「そうだね・・・、やはり「お好み焼きと言えば・・・」と言える物だからそう考えてはいるけどどうしたんだい?」
どうやら結愛の予感は当たっていた様だ、ただ何を聞きたいのと言うのだろうか。
結愛「という事はやはり主役は豚バラという事になりますよね・・・?」
真希子「何だい、あんたって子は・・・。言いたい事があるならハッキリ言いなさいな。」
結愛「では恐れながら申し上げますが、豚の脂と豚バラだと少しくどくて食べづらいのでは無いかと思いますけど・・・。」
気付けば鉄板の周囲にはあらゆる種族の老若男女が集まっていた、そこにいた全員が美味しい食事を楽しむには少し難点がある様に思われる。
真希子「そうか・・・、ただ鉄板をほったらかしにしてサラダ油を買って来る訳にもいかないしね。」
いやここは日本じゃ無くて異世界なんだから買って来なくても『作成』があるだろ、それとも『瞬間移動』を使ったらすぐだろうが。
真希子「何だい、あんたも私に意見するつもりかい?」
い、いや・・・。何でも無いっす・・・。
結愛「おば様、創造主は放っておいて他の脂で手を打ってみませんか?」
おい、聞こえてるぞコラ。
真希子「そうだね・・・、何を言っても分からない創造主は置いておこうかね。」
おいおい、ボロカスじゃねぇか・・・。俺の存在意義って一体・・・。
真希子「それで結愛ちゃん、何か案はあるかい?」
結愛「そうですね・・・、ピュー、ちょっと聞きたい事があるんだけど。」
ピューア「何よ、改まってどうしたって訳?」
結愛「いや別に、ただ「あれ」はどうしているのかなと思ってさ。」
だから何だよ・・・!!




