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誰だよ・・・
-451 強者達-
結愛の感じていた違和感はきっと間違いでは無かった様な気がする、それは「この世界の創造主(作者)」として傍らから住民の様子を見ていただけだったはずの俺が1番実感している事だった。
そう、「俺」という存在を認知していないはずの住民にまで「俺」の声が聞こえていた様に感じたのだ(気の所為だったらいいがここは何でもありの世界なので十分に有り得たりする)。
客「おいおい結愛、俺の顔まで忘れたってのか?酷過ぎるにも程が無いか?」
結愛「あんた・・・、何で俺の名前を・・・、って光明?!」
俺の声が聞こえていた訳だ、先程は他の見物客へと紛れる為に妻の事をわざと「姉ちゃん」と呼んでいた様だ。貝塚財閥代表取締役副社長(夫)がこの場に突然現れた理由は勿論1つだけであった。
光明「お前な、いつまで社長室の席を空けておくつもりだよ。お陰で書類が山積みになっているから困っているんだけどな、ヒドゥラちゃんの監視をかいくぐって何処に行ったかと思えばこんな所に居やがったのか。」
確か社長本人は「米の配達」と言ってこの場に来ていたはずだが、どうやら別の理由の方がメインだった可能性が浮上してきた様だ。こんな調子で大企業・貝塚財閥は大丈夫なのだろうかと今更ながらに心配になってしまうが、え・・・?「今に始まった事では無い」って?そっかそっか・・・、って誰だよ!!
結愛「おい創造主、結構大きな独り言みたいだが全部丸聞こえなんだよ。俺が聞いて良いか分からんが、恥ずかしくねぇのか?」
な・・・、何言ってんだよ・・・。これ以上アホな事を言っていると落雷落とすぞ?
結愛「待てよ、あんたなら本当にやりかねない上に神より強力かも知れない創造主の魔法なんて防げるか分からんからガチでやめてくれ。」
真希子「そうだよ、あんたも早く話を進めたいんだろ?それに早くしないとが空焼きで鉄板が焦げちまうよ。」
そう言えばさっきから焦げ臭いと思っていたんだよな、ここまで臭いが来るって事はよっぽどじゃねぇかよ・・・。仕方ない、ここは話を進めるしか方法が無さそうだな。
かなりの時間をかけてやっと点火する事には成功したが鉄板には油が敷かれていなかった、それ所か油らしき物も見当たらない。真希子はどうするつもりだったのだろうか。
ピューア「師匠・・・、鉄板に火を点ける前にどうして油が無いか確認しなかったんです?」
どう考えても真希子がこの屋外料理の主催者(発起人と言うか言い出しっぺ)なので主犯だと思われるのだが、今はそっとしておくのが1番なのかも知れない。
真希子「ちょっと待っておくれよ、私だけが悪い事になってんのかい?まぁ良いか・・・、それにしても女が3人もいてそんな事に何で気付かなかったんだろうね。」
これは飽くまで推測だが3人はずっと点火する事に気を取られていたので油まで気が回らなかったのだと思われる、一先ず騒動になる前に鉄板を火からおろす事に(折角温まってきたのに勿体ないと言えば勿体ないが仕方ない様な)。
ピューア「それで油はどうするんです?実は父から聞いたんですけど、今朝確認したら店の調理場にはギリギリ今日1日営業分の油しかないらしいんです。」
真希子「あんたね、そういった大事な事を何で先に言わないのさ。」
ピューア「ごめんなさい・・・、転生者の方々なら『アイテムボックス』の中に入っていたりするかなと思って安心しきっていたんです。」
真希子「そう考えるのも仕方が無いか、でもさっきの事案があるからね・・・。」
この世界において転生者達(と言うより能力)への信頼度は高い様だ、ただ先程真希子の『アイテムボックス』内に点火する道具が見つからなかったので正直言って大丈夫かどうかの保証が出来ない。
真希子「まぁ一応ね・・・、見てみるだけ見てみるよ。私が責任者みたいだし?」
結愛「おば様・・・、「みたい」では無いでしょ・・・。」
真希子「そんな事言わないであんた達も持っているか確認して頂戴、それとも筆頭株主の言う事が聞けないのかい?」
結愛・光明「おば様(真希子さん)・・・、そりゃ横暴ですって・・・。」
相変わらず筆頭株主(真希子)には頭が上がらない代表取締役達、こんなんで本当に貝塚財閥は大丈夫なのだろうか・・・。はぁ~・・・。
また話が進まなかった・・・




