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はよ作れや・・・
-447 便利な物の使い道-
別に俺が気にする事でも無いのだが、ナイリ達がこの場に鉄板を持って来てから結構な時間が経ったというのにいつになったら点火すると言うのだろうか。このままだと何時まで経ってもお好み焼きが出来上がらない、きっと俺だけでは無いはずだが腹が減った者が店内では無く駐車場に群がってしまっている。
ピューア「あの師匠、薪を組んだのは良いんですけどどうやって火を点けるんです?」
真希子「え・・・。」
真希子はとんでもない見落としをしてしまっていた、よく考えてみればライターやマッチといった点火する道具を持っていなかった気がする。
ピューア「もしかして・・・、何も持たずに来たんですか?」
真希子「そんな訳無いじゃ無いか、こうなるだろうと思って私は常に色々と持ち歩いているんだよ?」
ハッキリ言って「図星確定」と言った所か、しかし後に引けない真希子は多少の可能性に賭けてみる事にした。
ピューア「じゃあ何処にあると言うんです?何なら店から持って来ますけど。」
真希子「『アイテムボックス』の中にあるはずだからちょっと待っておくれ、確か先日の株主総会で配られたマッチがあるはずなんだよ。」
念の為に一応言っておくが、貝塚財閥の株主総会ではマッチなど配ってはいない(場末のスナックじゃあるまいし)。
結愛「おば様・・・、私そんな物配った記憶など・・・。」
真希子「何だって?」
結愛「いや・・・、何でも御座いません。」
ピューア「師匠、やっぱり無いんでしょ?私持って来ますよ?」
真希子「いや、きっとあるはずなんだよ。もう少し待っておくれ。」
なかなか見つからないんだったらいっその事持って来て貰えよ、と言うかここは異世界なんだから火魔法でも使って点火すれば良いじゃねぇか。
ピューア「あの・・・、師匠?そこまで必死になって探す必要無いんじゃ無いですか?」
真希子「この辺りにあるはずなんだよ、もう少し待っておくれ。」
ピューア「「この辺り」と言われましてもね・・・、申し訳ないんですけど今私には師匠の下半身しか見えて無いんですよ。」
周囲から「ムキになっちゃって」と言われてもおかしくない状況だ、ピューアと結愛のどちらかが何とかすればすぐに解決する問題なんだけどな。
結愛「ピュー、俺が火魔法で点けようか?一応ネクロマンサーだから出来なくも無いよ。」
ピューア「有難いけど気持ちだけ貰っとくわ、でないとほら・・・。」
この世界に来た転生者にこれだけ必死になって火を点けようとした者がいただろうか、いやいない(高校の国語か)。
結愛「そうだな、俺達が勝手に動いたら真希子さんの気持ちを踏みにじる事になっちまうな。何か悪かったな。」
ピューア「いや、私に謝っても仕方が無いじゃない。と言うか結愛っていつも「おば様」って呼んでるじゃん、なのに今回は「真希子さん」なのね。」
結愛「一応ピューに合わせたんだよ、そっちがいつも「師匠」って呼んでるからよ。」
ピューア「成程、各々呼び方が違っていたから共通する「名前で」って事ね。」
結愛「そういう事だよ、取り敢えず様子を見ようぜ。」
社長とニクシーがお互い納得したのは良いのだが、それだけで火が点く訳では無い。
流石に諦めたのか、『アイテムボックス』の中から真希子がやっと出て来た。
真希子「そうだ、見つからないなら『作成』すれば良いじゃ無いか。忘れてたよ。」
やっと気付いたか、その調子だと何の為の『作成』なのか分からないだろうがよ。
真希子「えっと・・・、こうだね?」
真希子は『アイテムボックス』の中身を一目で確認出来る『アイテムボックスモニター』という能力を『作成』した、いやマッチやライターじゃねぇのかよ。
結愛「おば様・・・、頭が良いのは分かりますがそっちですか・・・。」
便利なのはわかるけどまだ作らんのかい




