446
俺がため息をつきたいよ・・・。
-446 ここは異世界なんです-
種族の違う女性2人は子供による正直な言動により深いため息をついていた、やはりこの世界では種族関係なく皆が同様に感情を持って分かち合う(何百話も書いて改めて思うのだが「こんな異世界」もやはりありと言えばありだな)。
そんな中、結愛になかなか手伝って貰えない真希子は鉄板を温める為に集めた薪に火を点ける事にした。
真希子「それにしてもありがとうね、よく考えてみれば炭とかを持っていなかったからどうしようかと焦っていたんだ。私の事をよく分かっているよ、流石は弟子だね。」
ピューア「そんな事ないですよ、お礼なら父に言って下さい。」
上級人魚が言うには店内が盛り上がって行く中で、調理場にてランチを作っていた父が外で自分以上に忙しそうにしているのを見かけた為に娘に声をかけたとの事。
メラルーク「ピュー、お師匠さんが大変そうにしているから一旦そっちの手伝いを頼めるか?こっちは大丈夫そうだから。」
本人が「大丈夫」と言っているので大丈夫なんだろうが娘はずっと疑いの目を持っていた様だ、2人の様子を見ているとそれも分からなくもない。
ピューア「何言ってんのよ、さっきからずっと鍋を振っているじゃない。何処からどう見ても駄目そうだけど行っちゃって良いの?」
メラルーク「問題無いって、さっきチラッとシフトを確認したけどもうすぐバイトが1人入って来るはずだから。」
いざという時の為にしっかりとシフト調整をしていたメラルーク、やはり店の経営者としてそれなりに考えている様だ。
ピューア「・・・、という事なんです。」
真希子「ふむふむ・・・、成程ね・・・。」
あれ、まさかな・・・。おい、そこのニクシー!!俺の事を利用しやがったな?!
ピューア「悪かったですって、でも話を進めるのに結構役立ったんじゃないですか?それに台本にだってちゃんと書いてあるんですから。」
え、そうなの?それは失礼しました・・・、ってだから何処に「台本」があるってんだよ!!まぁ良いか、疲れるだけだからな。
真希子「それにしてもどうしようかね、『アイテムボックス』の中を確認しないとね。」
真希子は火を点ける道具を探そうと『アイテムボックス』の中に頭から突っ込んでいった、好美の物ほどでは無いみたいだがやはり物で溢れている中はごちゃついている様だ。
そんな事を言っていたら自らがオーナーを務める「暴徒の鱗 ビル下店」で人員不足が発生したために手伝っていた本人が突如『瞬間移動』して来た様だ、『察知』って怖い能力だな全く・・・。
好美「ちょっと、聞こえたよ!!」
えっと・・・、俺が何か間違った事を言いましたかね・・・?
好美「間違ってはいないけどさ、『アイテムボックス』の中がごちゃごちゃしているのは私だけじゃ無いじゃん。何で私が言われないといけない訳?」
「敢えて」ですよ、「蔑ろにしないで早く出番を作れ」と言っていたのは貴女だったじゃないですか。
好美「確かにそうだけど・・・、絶対守や光さんのほうがごちゃついているはずだもん!!(一応)姉弟だから似ているはずだもん!!」
そこは「十人十色」って言うじゃないですか、それに真希子さんの前で守の事を言うのはどうかと思いますが?
真希子「好美ちゃん、うちの守が何だって・・・?」
好美「え、いや・・・。あ、まずそうなので店に戻りまぁ~す。」
真希子「全く・・・、都合が悪くなったらすぐ『瞬間移動』で消えちゃうんだから(私も人の事言えないんだけどね)。」
あの・・・、それで鉄板にはいつ火を点けるんですか?
いつ作るんすか?




