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真希子さん、ご決断を。
-445 正直は良い事だけど何処か気まずい-
まさか貝塚財閥代表取締役社長のおちゃらけシーンを見る事になるとは、どういう理由があったとしても今絶対してはいけない行動だった様な気がするのは傍らから見ているだけの俺だって分かる。しかし、いちいちいじり倒していたらなかなか話が進まないので放っておくべきなんだろうなと密かに思ってしまう。まぁ最も重要なのは今の状況を筆頭株主がどう思うかなのだが・・・、おば様如何でしょうか。
真希子「そうさね・・・、私個人の自論なんだけど人の行動には必ずそれなりの理由があると思うんだよね。私だって鬼じゃ無いんだから一先ず何があったか聞いてみようじゃ無いか、創造主さんはそれで良いかね?」
勿論です、(最低でも今この状況で)真希子さんのご意見を否定出来る者なんている訳が無いじゃ無いですか。
真希子「あんたね・・・、名前で呼ぶか「ババア」って呼ぶかどっちかにしなさいな。」
恐れ入りますが私がいつ・・・、いや今は良いでしょう。早速結愛に理由を聞こうじゃありませんか、ね?
真希子「何だよ、そんなに焦らなくても良い事じゃ無いのかい?」
いや・・・、別に焦ってはいませんよ?ただ世の中「善は急げ」と言うじゃありませんか、ね?
真希子「そうかい・・・、分かったよ・・・。」
先程から決して面白いとは言えないギャグを連発する結愛、ただ欲見れば本人がやりたくてやっている訳ではなさそうだな。
真希子「結愛ちゃん?さっきの「あーい、とぅいまてぇーん!!」はどういう事なんだい?」
結愛「お・・・、おば様!!み・・・、見ていらしたんでしゅか?!」
真希子「焦っているからなのか恥ずかしがっているからなのか分からないけど、あんた思いっきり噛んでるよ?大丈夫なのかい?」
結愛「何を仰っているんですか、私は相変わらず平然としているじゃ無いですか。」
真希子「どうみても「平然としている」様には見えないんだけどね、あんた本人がそう言っているならそうなのかも知れないね。」
結愛「ただ助けて下さいよ、ずっと子供の相手をしているんです・・・!!」
よく見れば先程の子供が結愛の袖をずっと引っ張っている様な気がするな、そう言えばそのスーツって最近新調したばかりのやつじゃ無かったか?
結愛「そうなんだよ、これ結構高かったんだけどな・・・。」
実は最近、事業拡大の1つとして始めた貝塚運送の売上が思った以上に良かったので自分へのご褒美に新しく新調したスーツで今日は仕事をしていた様だ。ただそれって美麗のお陰でもあるのでは無いかと思うので今度本人がいる時にでも聞いてみるか、今は話を進めるのが先だよな。
真希子「その子結構小さいのにあんた大分苦戦しているみたいだね、何があったんだい。」
結愛「私が聞きたい位なんです、この子の事を知らないどころか初対面なんですもん。」
ただ結愛自身はすっかり有名人になってしまっているのでそうなっても仕方が無い気がするが、社長が苦戦しているのにはちゃんとした理由があった様だ。
未だにずっと袖を引っ張る結愛の様子を見かけたその子の母親が子供を迎えに来た、それにより問題は解決した。
母親「すみません、この子私に似て力が強く育ってしまっているんです!!ご迷惑をお掛けしました、申し訳ありません!!」
駆け寄ってきた母親はしっかりと『人化』していたみたいだがどうやら巨獣人族だった様だ、人間の父親と巨獣人のハーフだから妙に力が強かった訳だな。
結愛「いえいえ、元気なお子さんで宜しいじゃありませんか。羨ましい位ですよ。」
母親「恐れ入ります、ほらあんたもおばちゃんに謝りなさい。」
子供「おば・・・、いやお姉ちゃんごめんなさい・・・。」
母親「え?お・・・、お姉ちゃん?何で言いかえたの?」
子供「だって「私の事は「お姉ちゃん」と呼べ」って言われたもん。」
結愛「アハハ・・・、正直なお子様ですね・・・。嘘をつかないのは良い事ですね・・・。」
母親「アハハ・・・、そうなんです・・・。」
2人「はぁ~・・・。」
誰も悪くない・・・、はず。




