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あの・・・、早く作りません?
-444 大切な事-
お好み焼きを作ろうとする真希子の横で何故か1人そば飯を想像して腹を空かせていた結愛、これは飽くまで推測だが家での食事がカップ麺ばかりだったので米をたらふく食いたかったのでは無いだろうか(そんなの本人にしか分からない事だわな)。
結愛「そんな訳無いだろ、俺も光明も忙しいんだから作る時間が取れないんだよ。」
真希子「そう言う割には随分とゆっくりしている様だけど?」
結愛「い、いやおば様・・・。」
やはり「最悪の高校時代」から親の様に兄妹の事を見て来た筆頭株主にはお見通しの様だ・・・、と言うより結愛が涎を垂らしているので周りにいる全員にバレてしまっている。
真希子「あんたね、食欲だけは1人前なんだから困った子だよ。」
結愛「何を仰っているんですか、私は社長としてちゃんと働いていますよ!!ここにだって会社の一員として・・・。」
真希子「「味の確認」だろ?もう耳に胼胝ができる位に聞いたよ。」
米を持って来たのも、いや新しく開発したのも実は自分の為なのでは無いかと疑い始めた真希子。次の支給日から結愛の給料をどうしようか少し悩み始めたみたいだが、せめてボーナスを数割カットするだけで抑えておいて欲しいと思ってしまう。
結愛「おい創造主、お前勝手な事を言うもんじゃ無いぞ?!俺は毎月の給料をマカロンで貰っているんだぞ?先月なんて必死に働いたのにマカロン4つだぞ?」
自分の事を謙遜しすぎて自ら貝塚財閥代表取締役社長の給料を安く言い過ぎてしまった結愛、と言うか何処かで聞いた事がある様な気がするが大丈夫なのだろうか。
真希子「結愛ちゃん、そんなアホな事言っていると来月の給料を本当に「マカロン4つ」にする様に人事部に言うよ?」
結愛「おば様、冗談に決まっているじゃ無いですか!!ただ誰だって自分の給与額を言いたくは無いでしょう?」
真希子「まぁそうなんでけどね、あんたそんなんだと下手すれば自分で自分の会社の評判を下げる事になっちまうよ?「あそこの会社はどれだけ頑張っても毎月マカロンしか貰えない」だなんて思われてもおかしく無いんだよ?」
決して声を荒げてはいなかったが真希子による叱責についしょんぼりしてしまう結愛、ただ言ってしまえば正に自業自得なので致し方無い様な気がする。
結愛「ごめんなさい、今のは言い過ぎでした。」
真希子「分かれば良いの、じゃあ調理を続けようかね。」
真希子は元から結愛の事を許していたみたいだが黙っていない者が約1名、2人の会話を盗み聞きしていたのだろうか。
ペンネ「それじゃ駄目、「ごめんなさい」するなら土下座しなきゃでしょ?」
先程は事なきを得たみたいになったがこのままではいけない気がして来た真希子。
真希子「ペンネちゃん、流石に土下座は大袈裟過ぎやしないかい?というかあんた、まさか土下座フェチなのかい?」
ペンネ「い・・・、いや・・・、「誠意を持って謝る時は土下座じゃ無いといけない」ってお姉ちゃんに教えられているから。」
2人「はぁ・・・、原因はあの子か・・・。」
ニヤニヤとした表情を見せるミーレンの顔を思い浮かべた真希子と結愛、本人がダーク・エルフだからという訳では無いが腹黒いと言うか何と言うか・・・。
真希子「ペンネちゃん、悪いけどその考えはもう捨てておきな。土下座はこの世で最も屈辱的な謝り方の1つだよ、そうやすやすと出来るもんじゃ無いと思った方が良いんじゃないかな。」
ため息をついた後、シルヴァー・エルフの間違いを冷静に正す真希子。これは筆頭株主が故の心の広さだと言うのだろうか、いや全くもって関係無いのかも知れない。
ペンネ「じゃあ・・・、どうすれば良いんですか?」
真希子「相手にちゃんと謝る気持ちがあればやり方はどんなのでも良いんだよ、大切なのは誠意を伝える事なんだからね。」
ペンネ「おば様・・・、あれは大丈夫ですか?」
結愛「あーい、とぅいまてぇーん!!」
真希子「うん、絶対だめだね、と言うかあんたまで「おば様」と呼ぶのかい?」
こりゃ大物だな




