441
あの・・・、どうするおつもりで?
-441 おいおいおいおいおい!!-
「私が何とかする」とは言ったものの、こうなるとは思っていなかったので何も用意していなかった真希子(と言うか元の世界にいた頃からマジックのイメージが全くなかったのだがどうするつもりなのだろうか)。ただ日常的に魔法が存在しているこの異世界で何か策があると言うのだろうか、しかも連れているアシスタントが魔術師系統の種族でもない上級人魚だというのに大丈夫なのか?
真希子「馬鹿言ってんじゃ無いよ、私もそうだけどうちのピューアちゃんはやればできる子なんだよ。舐めないで頂戴な!!」
真希子さん、「やればできる」とは言っても誰にだって限界というものがあるんですから正直無理はなさらない方が宜しいかと・・・。
真希子「あのね、傍らで見ているだけのあんたに何が出来るってんだい。そんな事言うならあんたが代わりにやるってのかい?」
何を仰いますか、私もマジックなんて出来ませんよ!!分かりました・・・、前言撤回するからお願いします・・・。
ピューア「それで師匠、何をされるおつもりです?」
真希子「あのね、今はお客様の目の前だから「師匠」じゃなくて名前で呼んでおくれよ(本当は普段からそうして欲しいんだけどね)。何なら可愛らしく「真希子ちゃま」でも構わないよ?」
真希子はジョークのつもりで言った様だが所々から「オエッ」という音が聞こえて来た様な気がしたのは俺だけだろうか、ただ本人は気付かなかった(若しくはふりをしていた)みたいなので良しとするか。
ピューア「え、えっと・・・、真希子さん?それでどうされるおつもりです?」
改めて言う事でも無いが真希子たちが今いるのはトンカツ屋、マジック道具などある訳が無い。
真希子「そうですねぇ・・・、段ボール箱が何個かあったら助かるんだけど。」
ピューア「あの・・・、お客様がいらっしゃる前で仕込みをするつもりですか?」
真希子「何を仰っているんですか、そのまま使うんですよ。」
「何をするつもりなんだろう」と疑問に思いながら店舗裏に野菜の入っていた段ボール箱を取りに行くニクシーを見送った真希子は調理場から長めの包丁を持って再登場した、まさかな・・・。
真希子「丁度先程空席となったテーブルが1卓あるようですね、あれを使いましょう。」
そう言うと片付け前で皿などが残っていた卓上から白いテーブルクロスのみを抜き取った、正直それだけでも十分凄いと思われるのだが?
真希子「あらま、私とした事が。これだけ抜き取っても仕方が無かったですね、失敬失敬。」
クロスとテーブルの両方を使用するつもりだったのか、結局地道に片づけをし始めた真希子。ただそれにより笑いが起こったので良かったとすべきだと思われる。
一笑い起こった所で弟子が帰って来た様だ、一先ずナイスタイミングという言葉を贈っておこうか。
ピューア「し・・・、真希子さん。持って来ました。」
真希子「丁度良かったですね、ではこちらに。」
帰って来たばかりのピューアを卓上に寝かせて先程のテーブルクロスをふんわりとかけた真希子、「まさかそんなベタな事をするつもりなのか?」と思ったが何故か右手には未だに包丁が。
ピューア「あの・・・、真希子さん?何で包丁なんか持っているんです?」
真希子「そうだった、忘れてたよ。」
何かを思い出したかのように布で覆われたピューアの上に先程の段ボール箱を被せる真希子、そして両手で包丁を持ち・・・。
真希子「では皆様ご注目、ここにいるニクシーさんを段ボールごと真っ二つにしてみようと思います。」
ピューア「ちょっと、ちょっと?!殺す気ですか?!」
真希子「大丈夫だって、何とかなるっしょ!!」
ならんわ!!




