440
早い内に謝っとけ
-440 本当にやっちゃうの?!-
「ごめんなさい」で済む話かどうか分からないが今の状況はどう考えても結愛に罪があるとしか言えないので大企業の代表取締役社長として、いや妻として一刻も早く謝るべきでは無いかという意見を提示したい。最低でも早くそうしてもらわないと話が進まない、と俺個人は思う(傍らで見ているだけの奴が言うべきでは無いかもしれないが)。
真希子(念話)「結愛ちゃん、言い逃れ出来ない空気になってきたのは分かっているね?そこのエルフさんが言った通りちゃんと謝ったら私自身は水に流してあげるから早く光明君に謝ったらどうなんだい?」
やはり何処の会社においても筆頭株主の力は偉大だ、流石に貝塚財閥の全権を握る真希子をこれ以上怒らせるのはまずい。「水に流す」と言ってくれている内に謝っておくのがやはり最善策だろう、社長だからと言って謝らなくても良いなんて事は全くもってあり得ない。
ペンネ(念話)「旦那さん、ちゃんと「ごめんなさい」したら許してくれますよね?」
見ず知らずのエルフから突然飛んで来た『念話』に動揺の色を隠せなかったが、冷静さを保っていた光明は深呼吸をして対応した。
光明(念話)「勿論です、誠意をもって謝ってくれればこちらだってちゃんとそれに答えるつもりです。」
本当は許せる訳が無い話なのだが折角出て来た第3者からの貴重な意見を無駄にする訳にはいかない、副社長はシルヴァー・エルフの言葉を決して否定する事をしなかった。
ペンネ(念話)「ほら、旦那さんもこう言っているんだからちゃんと「ごめんなさい」しなさい。」
ペンネに威圧されて渋々だが頭を下げる結愛、『念話』なのでそこまでしても伝わらないと思うがそこはやはり「誠意を表す」という意味で必要かと推測出来る。
結愛(念話)「ご・・・、ごめんなさい・・・。」
光明(念話)「ま・・・、まぁ・・・、謝ってくれたら許さなくも・・・。」
ペンネ(念話)「駄目!!それじゃ駄目!!ですよね、おば様!!」
真希子(念話)「あ、ああ・・・、そうだね・・・。」
結愛・光明(念話)「え・・・?」
一言で筆頭株主を味方につけたペンネは社長夫妻以上の力を持っている様に見えた、これは貝塚財閥にとって偉大な存在になるかも知れないぞ?
ペンネ(念話)「ほら、謝る時はどうやってやるか分かるでしょ?」
えっと・・・、何となく嫌な予感が・・・。
ペンネ(念話)「土下座!!土下座するの!!」
光明(念話)「い・・・、いや・・・。お姉さん、俺そこまでは妻に求めてな・・・。」
ペンネ(念話)「あん?!何か言った?!」
光明(念話)「え・・・、えっと・・・。何でも無いです・・・、ごめんなさい。」
一体誰が誰に謝らないといけないのかが分からなくなってきているが、この状況を元に戻す事が出来るのはきっと1人だけだろう。
ペンネ(念話)「ほら、謝るべきなのは旦那さんじゃ無くて貴女でしょ?!早く額と両手を地に・・・。」
結愛(念話)「分かった分かった!!」
ペンネ(念話)「何よそれ、「分かりました」でしょ?!」
結愛(念話)「わ、分かりました・・・。」
シルヴァー・エルフに言われるがままにその場で土下座を行おうとする結愛、しかしすっかり有名人になってしまっている社長に土下座をさせてしまうと大騒動になってしまう可能性が浮上するのではなかろうか。
「流石にこのままでは会社としてまずい」と思った真希子は機転を利かせる事に、一先ず調理場で地道に皿洗いをしていた弟子をこっそり手招きで呼び出して客席を挟んで結愛のいる反対側の場所へと誘導した。
真希子「お客様方、お食事中にお騒がせして申し訳ございません。ちょっとした余興を兼ねて宜しければ我々のマジックでもご覧になって気を紛らわせて頂ければと思います。」
ピューア「え?!ちょ、ちょっと師匠?!私ただの調理師なのでそんなの出来ませんよ?!」
真希子「これしか方法が無いの、私が何とかするから手伝っておくれ!!師匠命令だよ!!」
無理過ぎじゃね?




