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調理が始まらない・・・。
-437 絶対要らない件-
個人的な意見を言うとすれば今は顔を赤くしている大企業の女性社長をイジっている場合では無いはずだ、正直一刻も早くキャベツを処理しなければならない気がするのだが。
守(念話)「おいおい、まさかと思うが自分の恥ずかしい思い出を皆に暴露する為に『念話』を飛ばして来たのか?もしそうだとしたら仕事中だから後にしてくれるか?」
守は冗談のつもりで行ったはずだと思われるが勿論そんな下らない理由で『念話』を飛ばす訳が無い、最低でも結愛は自分が不利な状況に陥るような行為を行うとは思えない(いや思いたくない)。
結愛(念話)「アホか、冗談はよしてくれ。お前に聞きたい事があったから『念話』を飛ばしたに決まっているだろ、ただお陰で何を聞こうか忘れちまいそうになったじゃねぇか。」
守(念話)「悪かったよ、一先ず忘れない内に何を聞こうとしていたのか教えてくれよ。ただ結愛、相当重要な事を聞きたいんだろうな?」
そうだぞ、早く疑問を解決して真希子の料理に着目を置きたいんだから邪魔すんな。
結愛(念話)「本当にちょっとした疑問なんだ、お前の母ちゃんってあの時割烹着なんて着てたか?」
守(念話)「・・・、はい?」
守は耳(いや脳内)を疑った、いくら何でも下らなさ過ぎやしないだろうか。
結愛(念話)「だから・・・、お前の母ちゃんってあの時割烹着を着てたかって聞いてんだよ!!」
守(念話)「そこまで必死になって聞くような事かよ、あの時と言っても何年も前の事だからな・・・。」
結愛(念話)「良いから思い出してくれよ、頼むよ!!」
何でそこまで必死になって聞きたいのかを俺も聞きたくなっている、これは飽くまで推測だが個人的な疑問の理由を探りたかったのでは無いだろうか。
守(念話)「あの時は確か・・・、義弘の解任決議案がほぼ満場一致で可決された後に母ちゃんの運転する軽バンで家に帰ったはずだよ。」
結愛(念話)「確かにそうだった、筆頭株主らしからぬ物に乗っていた感じがしたから覚えてるよ。」
実はその日、真希子が軽バンに乗っていたのは本来乗っていく予定だったスルサーティーがパンクしていたからであった。
真希子(念話)「軽バンで行って悪かったね、義弘が社長をしていた時は数年前みたいにリムジンを出してくれていた訳では無かったからね。」
結愛(念話)「おば様、聞いてらしたのですか?!」
真希子(念話)「馬鹿言うんじゃ無いよ、あんた達の『念話』がこの店にいるほぼ全員に聞こえているんだから当然じゃ無いか。」
ちょこちょこ起こる現象であるので改めて言う事でも無いのだが、この世界での『念話』は何故か周りの者達にも聞こえる様になっている(ハッキリ言って『念話』の意味があるのかが疑わしいので要らない機能な気がするが)。
真希子(念話)「あんた達が気になる話をしていたからなかなか調理に入れないじゃ無いか、守の仕事の邪魔にもなるから早く終わらせて頂戴な。」
結愛(念話)「そうですねおば様、大変失礼しました。」
守(念話)「あのさ・・・、続きを話しても良いか?」
結愛(念話)「悪い悪い、頼むわ。」
こういう時に限って「大人モード」と「悪ガキモード」の切り替えがしっかりしている結愛、俺個人としては普段からそうであって欲しい。
守(念話)「そんで家に着いてお前らがキスしている間に母ちゃ・・・。」
結愛(念話)「馬鹿野郎、余計な事は良いんだよ!!」
守(念話)「これ無しでどうやって状況を思い出せって言うんだよ、必要だろ?」
結愛(念話)「アホか、要らねぇから早くしろ!!」
まさにボロカスと言った状況だ、可哀想な守・・・。
守(念話)「それで母ちゃんがカレーを温めにキッチンへと入った時は割烹着姿だったはず、温め終えた後に割烹着を脱いで玄関先に迎えに言ったらお前らがキスしてた。」
結愛(念話)「お前な・・・、お決まりの件みたいに何回も言うんじゃねぇ!!」
お決まりの件、これ暫くいじれるな




