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434

食わず嫌いや好き嫌いはきっかけ1つで治る時もあるはず・・・


-434 やっとか・・・-


 俺自身も人の事を言える立場では無いのだが短い(?)間に「両面をしっかりと硬く焼いた目玉焼きにソースをかけたり炊き立てご飯の粘りや甘みを楽しめないと嫌だ」という近所に住む子供以上の好き嫌いっぷりを発揮したソンを横目に一同は黄身が半熟に焼けた大きな目玉焼きの乗った土鍋ご飯を楽しむ事に、1度口にした一同の舌や胃袋を一瞬にして掴んだその味はその濃厚さが故に醤油などを必要としない位の物だった様だ。

 だがしかしそれ所では無い事態が発生した様だ、そう、もうすっかりお馴染みとなってしまった父親によって。


ソン(当時)「ナイリ、そしてペンネちゃん・・・。俺前言撤回するわ、半熟の目玉焼きって何も付けなくても良いんだな。こんなにも美味いとは今まで全く知らなかったよ。」


 正に「無知の知」という奴か、どうやら鳳凰フェンより与えられし恵みの影響により好き嫌いをも変えてしまった様だ。ソンはまるで初めて焼いたマシュマロを食べた子供の様にトロトロの黄身がかかったご飯に食らいついていた、それ位に美味い卵を俺も1度は食ってみたい。


ナイリ(当時)「父さん・・・、いくら何でも大袈裟じゃ無いか。だってまだ半熟な上にソースや醤油もかけていないんだぞ?」


 まだ最初の1口の味を知らない息子ナイリは未だに父親ソンの言葉を信じることが出来ていなかった、「たかが目玉焼き丼で・・・」と誰もが言いたくなる雰囲気になってきたがどうなんだろうか。

 未だ疑いの目を持ってしまう俺は傍らから見る事しか出来なくて悔しかった、是非とも食えない俺の代わりにじっくりと味わってその味を伝えて欲しいものだ。


ナイリ(当時)「嘘だろ・・・、大きくて味が濃いだけじゃ無くて何処かクリーミーだ・・・。」


 ナイリの表現から一般的に市販されている卵からかけ離れた味だという事だけは伝わった、新しい経営者はこの味を沢山の住民にも伝えていきたいと即座に考え始めた様だ。


ナイリ(当時)「この卵絶対売れると思うけどちゃんとした根拠が欲しいな、君はどう思う?この卵かけご飯は口に合ったかな?」


 やはり「子供の舌は正直」だ、まずは素直な味の感想を聞くべきだと思ったナイリ。


子供「こんなの初めてだよ、おうちじゃ絶対食べれない!!」


 先程まで焼きそばを欲しがっていた子供は箸がずっと止まらないでいた、どうやらこの目玉焼き丼以外の食事はこの日必要無い様だ。

 十分な根拠を得たナイリはこの卵を売り込む方法を考え始めた、やはり宣伝に使うPOPに「伝説の鳳凰様から賜った米を食べた鶏の卵」だと表記すべきかと思ったが「嘘じゃ無いか」と疑われる可能性が浮上してしまう。


ナイリ(当時)「やはり売り込むにはその味を知ってもらうのが近道なのかも知れないな、でもどうしようか・・・。」


 食事を進めながらも頭を悩ませるナイリは数週間前の事を思い出した、実は「C’ s キッチン」を経営する旧友のマーマン・メラルークより「何かインパクトのある朝ごはんメニューを提案出来ないか」と相談を受けていたのだ。


ナイリ(当時)「そう言えばあいつの店ってトンカツ屋だっけ、一緒にメンゾの所の鶏肉も売り込んでみるか。一緒に持って行くときっと効果が出るはずだ。」


 「善は急げ」と思った上級鳥獣人バルタンは早速友人へと連絡をした、ただ電話の相手は未だに鶏肉を食いまくっていた様だ。


ナイリ(当時)「お前な・・・、そのままだと店に売り込んで販売する分が無くなるだろ。」


 ナイリは「鶏肉はまだあるから心配するな」と返答した友人を連れて翌日メラルークの店へと足を運んだ、因みに店主には予めアポイントメントを取っていた。


メラルーク(当時)「成程ね・・・、これが昨日電話で言っていた鶏肉に卵か。確かに大きいな、こんなの使って良いのか?」

ナイリ(当時)「勿論だ、是非お客さんに食べて貰って味の感想を聞いて欲しくてさ。」


 そうして今に至る、ただ父が長々と話していた為か上級人魚は少し疲れていた様だ。


挿絵(By みてみん)


ピューア「お父さん、ずっと気にしない様にしていたんだけど回想シーン長くない?」

メラルーク「ピュー、それ絶対言っちゃ駄目なやつだ。」


ごめんって・・・!!

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