433
おい、何か文句あんのかコラ
-433 大人だろ?-
新婚の妻が拘りの土鍋で炊き上げた白飯の上に焼けたばかりの目玉焼きを載せた時、義理の父は少し不満げな表情を浮かべていた。何とも美味そうな光景だと言うのに何処が気に食わなかったのだろうか、そしてこれを火種に喧嘩が勃発しないと良いんだが(頼むから平和的に解決してくれよ)。
ソン(当時)「なぁ、それだと炊き立てのご飯が卵の味に染まっちゃうじゃ無いか。」
ペンネ(当時)「そうだよ?美味しいから良いじゃん、何か悪い?」
俺の記憶が正しければこの2人の仲は良好だったはず、それが「目玉焼き」をきっかけに悪くなるなんて思いたくもない(と言うかくだらなさ過ぎる様な・・・)。
ソン(当時)「ほら・・・、炊き立てのご飯って特有の粘り気とか甘みがあるもんだろ?俺はそれも楽しみの1つにすべきだと思うんだよ。」
ペンネ(当時)「だったら初めの方は目玉焼きを避けてご飯を取れば良いじゃ無いの、黄身が付いていない所なら100%ご飯の味だよ?」
我々が住んでいる元の世界(地球・日本)において、今(2025. 2 .26)現在「世界初のインスタントラーメン」として発売された「あの商品」の上に卵を落として食べる人も少なく無いだろう(だってそういうCMがある位だからね)、それでも周囲の部分から麺を拾い上げると黄身の影響は全くもって出ていないイメージがある。
しかしこの目玉焼きでは「大きな」障害があった、もうお分かりの事だと思うので「乗せる前から分かれよ」とどうしても言いたくなってしまうのは俺だけだろうか。
ソン(当時)「あのさ・・・、逆に聞くけどどうやって?」
黄身の周りを器用に切り取ったつもりではいたが目玉焼きが大き過ぎて白飯が上から見えていない状態だったのだ、ただこの問題に関しては話し合いが長すぎて痺れを切らした近所の子供が解決(?)してくれた様だ(実は大人より子供の方が器用で頭が良かったりするのかも知れない)。
子供「もう!!早く食べようよ!!そんなのこうすれば良いじゃん!!」
子供が箸で卵を崩したのでその真下は黄身で染まってしまった、しかし少し掘ったら中にはまだ真っ白な状態の炊き立てご飯が残っていたのである(と言うかどうして先に気付かなかったんだろう)。
ソン(当時)「あらま、そう言う手があったか!!君、頭良いじゃ無いか!!」
ペンネ(当時)「黄身、だけにね。」
ナイリ(当時)「いやペンネ・・・、全然上手く無いんだが・・・。」
まさかこの異世界でもこういった言葉遊びを楽しむ住民がいただなんて、と言うかエルフが笑いに走ろうとするとは思いもしなかったな・・・(別に種族とかは関係ねぇか)。
子供「まぁそれは良いとして、早くしないと折角のご飯が冷めちゃうよ?」
ナイリ(当時)「おいおい、こんなポカポカ陽気なんだから大丈夫だろう。」
改めて言う事では無いがこの世界は年中通して比較的温暖な気候を維持しているはずなのにどうしてなんだろう・・・、敢えてその訳を聞いてみようかね。
子供「いや・・・、余りにも今のギャグが寒かったからさ・・・。」
おいおい、さっきは「それは良いとして」ってスルーしようとしていたじゃ無いか、その割には結構引っ張るんだな。
ナイリ(当時)「まぁまぁ創造主さん、相手は子供なんだから穏便に済ませようよ。大人気ないよ?」
ま、まぁ・・・、ナイリがそう言うなら別に気にしないようにするわ(でないと何時まで経っても話が進まんし)。一先ずマイクを切ってっと・・・、よし。
ソン(当時)「取り敢えず本当に冷めちまうから早く食っちまおうぜ、最初は俺からな。」
ナイリ(当時)「待てよ、最初はずっと待ってくれていたんだから子供に食べさせてあげようよ。父さんも創造主さんと同じで大人気ないよ?」
おいコラ、今のは聞き逃せんぞ?それにその台詞は土鍋の方を見てから言わんかい!!
ナイリ(当時)「えっと・・・、どういう事かな・・・、ってペンネ!!」
ペンネ(当時)「ごめん、つい美味しそうだったから最初の1口目食べちゃった!!」
子供「いや・・・、僕も食べてるから気にしないでよ。それより早く食べよう?」
案外子供の方が冷静だったりするんだよな




