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焼きそば、食いてぇな・・・
-429 子供達-
鉄板を持つ自分を見かけて目を輝かせる子供達を裏切る訳には行かないという想いがあった上級鳥獣人、ただ今から作ろうとしているのが焼きそばでは無い事だけは確かなのでどうすれば良いか悩みに悩んでいた。
子供「僕ソース味の焼きそば大好き、おじさん早く作って!!」
自分の作った料理を素直に気に入ってくれている子供達の存在は本当にありがたい、それが故に「今から作るのは大きな大きな目玉焼きだよ」とはとてもじゃないが言い辛い(決して目玉焼きの事を悪く言うつもりは無いので悪しからず)。
ナイリ(当時)「参ったな・・・。」
後頭部を掻いて悩むナイリ、ただその一方で「こいつは使える」という気持ちが膨らんで来た事も否定できない。
そんな中、キッチンの方向から聞き覚えのある女性の声が・・・。
ペンネ(当時)「ただいま・・・、ってその子誰よ!!まさか隠し子?!」
想定より早く戻って来た妻によりあらぬ勘違いをされてしまった旦那、この状況をどうやって切り抜けようかという悩みによりほんの少し頭痛がして来たがその頭痛は「呆気ない」と言わさんばかりに速攻で治ってしまった様だ。
子供「おじさん、焼きそばまだ?」
ペンネ(当時)「おじさん?焼きそば?どういう事?」
ナイリ(当時)「この子達はすぐそこに住む子達だよ、ちょっと前にご近所付き合いの集まりで作った焼きそばが好評だったみたいなんだ。」
ペンネ(当時)「そうだったの、勘違いしてごめんなさいね。」
誤解は解けた、ただ今解決すべき問題(?)はそこではない気がする・・・。
ペンネ(当時)「それで?焼きそば作らないの?」
ナイリが口にすまいとしていた事をあっさりと言ってしまったペンネ、別に悪い事をした訳では無いので決して咎める事は出来ない。
ナイリ(当時)「いやちょっと待てよ、今から作るのは目玉焼きだろ?」
ペンネ(当時)「じゃあ何で鉄板なんて持って来たの?」
まだ気づいてなかったみたいだな、「平和なこった」と言いたいが次の発言によっては妻を傷つける事になるぞ?
ナイリ(当時)「い、いやな・・・?折角外で作るんだから大きな鉄板で楽しもうかと思って、バーベキューみたいで悪く無いだろ?」
ペンネ(当時)「そりゃあ私だってバーベキューは好きだから良いけど、何となく勿体なくない?「ただの目玉焼き」だよ、大袈裟じゃないの?」
ペンネの発言に「しめた!!」と言わんばかりの様子、今のタイミングなら何を言ったって許されるはず。
ナイリ(当時)「「ただの目玉焼き」では無いと思うよ、少なくとも鳳凰様から頂いた米を食った鶏の卵なんだからさ。」
ペンネ(当時)「それもそうか、何かごめんね。」
ナイリ(当時)「いや、謝る必要は無いよ。俺だって陰でコソコソ動いていたから。」
互いを許し合える仲、これはやはり2人が新婚であるからが故だろうかと思いたいがお2人さん、お楽しみの所申し訳ないんだけどちょっと良いかな?ほら見てみ、袖をクイクイされてますよ?
子供「ねぇねぇ、ほったらかしはやめてくんない?これって「放置プレイ」ってやつ?」
ペンネ(当時)「ごめんね、実はお姉ちゃん達今から目玉焼きを作ろうと思って。」
「お姉ちゃん」と言っても長命種なので何歳かは聞かない方が良いのかも知れない・・・、って今は違うか。
ただそんな中、とある大事な事を思い出したというバルタン。
ナイリ(当時)「焼きそばも後で作るから良かったら目玉焼きを食べてみてくれないか?」
子供「目玉焼きも好きだから別に良いよ、でも焼きそばも忘れないでね?」
ナイリは「子供の舌が素直だ」という事を思い出したのだ、確かにこいつは使えそうだ。
子供の舌が何を決める?




