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では目玉焼きを・・・、ん?
-428 基本は大切-
火力の心配をする上級鳥獣人親子をよそに軽快に口笛を吹きながらカセットコンロで点火の操作を行う息子の妻、ただどうやら初歩的な問題を見逃していた様で・・・。
ナイリ(当時)「ペンネ、まさかと思うがそのまま割入れるつもりか?」
ペンネ(当時)「目玉焼きを作るんだから当たり前じゃん、それともそれ以外の方法があるって言うの?」
我々の住む元の世界とこの世界との共通で言える事だが、小学校の調理実習で目玉焼きを作った時に「熱したフライパンに卵を割入れる」と習ったはずだ。「まさかナイリ、習ったのが昔過ぎて忘れたって訳では無いよな?」と疑われる空気となってしまってるが流石に養鶏場の経営者となろうとしている者なのでそれは無いと信じたい、まぁでもよく考えてみれば(そんな必要も無いのだが)椎茸農家の息子である俺も椎茸が苦手なので正直何とも言えない(それは違うって?)。
ナイリ(当時)「別に無いんだけどさ、先にバターを敷かなくても良いの?」
いや、そっちじゃねぇよ・・・。
ペンネ(当時)「本当だ、ちょっと取って来るね?」
ナイリ(当時)「ついでに途中で入れる用の水も忘れないでね、一応気持ち多めの方が良いかも。」
ソン(当時)「後蓋も忘れない様にね、蒸し焼きにしなきゃいけないから。」
ペンネ(当時)「そんなに一度に持てないって、2回に分けても良い?」
ソン(当時)「勿論構わないよ、やり易い様にやりな。」
妙な優しさを見せるソン、何となく裏があるそうな雰囲気だが・・・?
ナイリ(当時)「父さん、手伝わなくても良いのかよ。」
少なくとも俺がそうなのだから頼んだ物が多い分、親子がついて行くべきでは無いのかと思う人も少なからずいるだろう。
ソン(当時)「良いんだ、ちょっと時間を稼ぎたかったんだよ。このままではペンネちゃんが恥をかいてしまうからな。」
義理の父親特有の優しさを見せる父親、しかし「ペンネが恥をかいてしまう」とはどういう事なのだろうか。
ソン(当時)「多分な、このまま割入れると卵自体がフライパンから溢れてしまう可能性があるからキッチンに行ってフライパンを取って来ないと。」
良かった・・・、気付いてくれている者がいてくれたよ。ああ・・・、ホッとした。
ナイリ(当時)「取り敢えずこれより大きい物があれば良いんだよね?」
ソン(当時)「そうだな、でないと大騒動になっちゃうからな。ただ出来るだけこっそり動くんだぞ、ペンネちゃんに気を遣うっていう意味でバレない様にな。」
ナイリ(当時)「分かった、何とかするよ。」
ただソンが自分の発言を振り返ってみると少しマズくなるのでは無いかという事に気付いた、よく考えてみると先程頼んだ物は全てキッチンにある。
ソン(当時)「ナイリ、ちょっと待ってく・・・。まぁ、良いか。」
いや良くねぇよ、折角の気遣いが台無しになっちゃうよ?
ただ息子にとってはどうやら想定の範囲内だった様で・・・、はぁ・・・。
ナイリ(当時)「父さん、これ使えないかな?」
ナイリは倉庫から夏場バーベキューをする時使用するコンロに付属されている鉄板を持って来た、これだとガスどころか直火でも問題ない上に十分な面積がある。
ただこのタイミングでまさかのトラブル(?)が起こった、ナイリが倉庫から鉄板を持参するのを偶然見かけた近所の子供が声をかけて来たのだ。
子供「ナイリおじさん、もしかして焼きそばやるの?!食べたい!!」
数年程前に地域の集まりでナイリが作った焼きそばが結構子供達に好評だった様で今でも「又食べたい」という意見が良く出ているらしい、ただ今はそれ所では無いのだがご近所付き合いも大切にしている親子にとって子供達をガッカリさせるのは言語道断の様だ。
でもこれは使えるかもよ?




