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遂に卵が産まれたが?
-426 鶏卵と敬愛-
息子の嫁による冷静なツッコミが入った所で3人は採れたばかりの鶏卵(と呼んでも良いのか?)を手に家のキッチンへと入って行った、大きさが大きさだった分いつも以上に持ち運ぶのが大変だったがそれ以上の感情が芽生えていた様だ。
ソン(当時)「これって美味いのかな、栄養価はどうなのだろうか・・・。」
独断でもう既に鶏卵として出荷するつもりでいる上級鳥獣人、ただ養鶏場自体を息子に任せている上に問題は食べても良いのだろうかという事。
ナイリ(当時)「きっと鳳凰様が本来レイヤーを育てる俺達へとお与え下さろうとしていたのはこの卵だったと思うんだよ、良かったら食べてみないか?」
ペンネ(当時)「でも本当に勝手に採って私達が食べても良いのかな、一度お祀りでもして感謝の意を表すべきなんじゃないの?でないと罰が当たりそうな気がするんだけど・・・。」
鳳凰の許可を得るも何も、一家の養鶏場で生まれた卵な上にもう既に収穫して家へと持ち込んでしまっているから後にも引けない。だがしかしペンネの気持ちも分からなくも無いので「念の為・・・」とお祀りをして手を合わせる事に。
ソン(当時)「神様、有難き贈り物に感謝致します。図々しいお願いかも知れませんがこれからも我々をお救い下さいませ、宜しくお願い申し上げます。」
それから数分の間、ソンはずっと祈り続けていた。ナイリは「ちょっと長すぎじゃ無いの?」と聞きたくなったが神に対する敬愛を込めた行為なので止めない方が身の為かと自分を律した、ふと隣を見るとペンネも同様に祈っていた。
ペンネ(当時)「この度の卵を含め、ありとあらゆる出逢いに感謝いたします。きっと神様が私共にお与え下さった必然であったと私は思っております、ありがとうございます。」
妻の様子を見て本当に感謝しないといけないと思ったのはナイリの方だった、辛い時も嬉しい時もいつも隣にはペンネがいたからだ。唯一祈りの手を解いていたナイリは自分の事が恥ずかしくなり、改めて祈りを捧げる事に。
ナイリ(当時)「鳳凰様、感謝致します。これからも精進致しますので宜しくお願い申し上げます。」
3人が深々と頭を下げるとその祈りがフェンへと通じたのか、目の前の卵がほんのりと光り始めた様に見えたが故に少し罪悪感があったが卵をキッチンへと持ち込んで割ってみる事に。すると・・・。
ペンネ(当時)「な・・・、何これ・・・!!」
衝撃的な光景を目にしたようなペンネの叫び声に驚きを隠せなかった父と息子は急いでキッチンへと向かった、そこではペンネが卵を割入れたボウルの前で倒れ込んでいた。
ソン(当時)「ペンネちゃん、何があった!!」
ペンネ(当時)「お・・・、お義父さん!!これ見て!!凄すぎるよ!!」
どうやら恐怖を伴った衝撃的な事件に遭遇した訳では無かった様だ、逆に嬉しくて叫んでいたと考えても良いのかも知れない。
一先ずソンとナイリはペンネが指差していたボウルを覗き込んでみた、すると・・・。
ナイリ(当時)「と、父さん・・・。これ・・・。」
ソン(当時)「そうだな、やけにデカすぎるな・・・。」
息子の嫁が割入れたのはたった1個だったのだが、もう既にボウルの中は一杯となってしまっていた。
ペンネ(当時)「いや2人共、どうしてそんなに冷静になれるの?」
元々の卵の大きさから大体想像が付いていたがまさかここまでの大きさとは、ただ逆に驚き過ぎてペンネからは冷静沈着に見えていた様だ。
ナイリ(当時)「だって・・・、卵は卵だからな・・・。」
ソン(当時)「別に龍が生まれた訳では無いし・・・。」
確かに間違った事を言ったわけでは無いが逆に不自然すぎると言える位の冷静さに驚きを隠せなくなっているのは俺だけだろうか、いやペンネもか。
ペンネ(当時)「いやだから・・・、ここには鶏しかいないでしょ?」
そうそう。




