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大きな変化が出始めたみたいだぞ?
-424 効果あり?いや無し?-
メンゾが驚くのも無理は無かった、普段通りの餌を与えていた時の鶏たちはというと2~3口だけ食べるとその場から離れてまた気が向いた時にちょこちょこ食べている事が多かったのだが神から与えられた米の混ざった今回の餌を与えると全くもってその場から離れないどころか取り合いまでしてしまっている位だった。
メンゾ(当時)「おいおい、気持ちは分からなくも無いが仲良く食べてくれよ。皆一緒に成長してきた仲間なんだからそれ位は出来るだろう?」
上級巨獣人の言葉が通じていたのか、鶏たちが「そんなの関係あるかい」と反論するかの様に襲い掛かって来た。幼少の頃からこの鶏舎で鶏たちの様子を伺ったり、両親の手伝いとして餌やりをしたりはしていたが今までこんな事が起こった事など1度も無かったとの事。初めての事にどうする事も出来なかったメンゾはその場で1人立ち尽くしていた、ただ仕事だけはちゃんとして欲しいというのが俺個人としての本音ではある。
一方、ソン達の家では未だに食事会が続いていた。3人共メンゾが既に帰ってしまっていた事に全くもって気付いていない様だ、それ程に鳳凰からの贈り物が美味かったのだろうか(それともやはり大好物を少しでも多く食べたかったからか)。
ナイリ(当時)「父ちゃん、そろそろ鶏に餌をやらないといけないんじゃない?この米を貰った当初の目的を忘れちゃうかもだから今のうちにあげとかないか?」
ソン(当時)「そうだな、神様の御言葉通りにしないと罰が当たっちまう。」
父が息子に賛成の意を表すと2人はその場に茶碗を置いて鶏舎へと急いだ、忘れているかも知れないがその場にまだペンネがいる事を認識しておいて欲しい。
ペンネ(当時)「いくら大切な仕事だからって折角の米が勿体ないじゃない、誰も見てないみたいだし冷めない内に2人の分も食べちゃえ。」
ペンネが親子の茶碗に残った湯気の立つ白飯を口に運んでいた頃、鶏舎ではソンの先導で餌作りが行われた。メンゾも同様に行っていたのだが普段あげている餌に粉にした例の米を数割程度混ぜ込む。
ナイリ(当時)「こんなもんかな、父さんはどう思う?」
ソン(当時)「良いんじゃ無いか、それにしても米が大分目立ってんな。」
それもそのはず、神から与えられた稲は精米した白米となってもその輝きを止めようとはしていなかったのだ。普段与えている餌との違いは一目瞭然という奴だ。
勿論鶏たちの反応も抜群に良かった、メンゾの家と同様(いや下手すればそれ以上)に喰らい付きが良かった。双方の鶏舎における鶏たちの成長が今から楽しみで仕方が無い・・・、と言いたかったのだが変化は翌日の朝に「速攻」と言わさんばかりの勢いで起こってしまった。
朝一、その大いなる変化に気付いたのは他の誰でもないメンゾだった。
メンゾ(当時)「な・・・、何じゃこりゃ・・・。」
正しく「開いた口が塞がらない」と言う言葉がピッタリな状況だった、フェンから与えられた米の混ざった餌を食べた鶏たちが前日の倍以上の大きさへと成長していたのだ。
メンゾ(当時)「まだ薄暗い朝だからかな、それとも俺の目がおかしくなったのかな・・・。」
こんな反応になっても十分おかしくない、いくら何でも一晩で育ち過ぎだ。その上関係あるかどうかが分からないが鶏たちの毛並みが良い、この事にメンゾはその場に倒れ込んでしまった。
メンゾ(当時)「まだ寝足りないのかも、それともこれは夢なのかな・・・。」
両方とも間違い、メンゾが見ているのは紛れもない事実。これは時間がいくら経過しても変わる事は無いと推測出来る。
その一方、上級鳥獣人たちのいる鶏舎ではと言うと・・・。
ナイリ(当時)「父ちゃん・・・、どうしよう・・・。」
おりょりょ、問題発生か?
ソン(当時)「どうした、何か良い事でもあったか?」
ナイリ(当時)「この顔がそんな風に見える?こんな時間なのに鶏たちがなかなか卵を産まないし何処か苦しそうなんだ。」
ソン(当時)「もしかして・・・、直接稲を賜った訳では無い俺達にフェン様がお怒りになったのかな。こいつらは一体・・・、どうなるんだろう・・・。」
ナイリ(当時)「大事にならなきゃ良いけど、様子を見るしか無いね。」
鶏たちはどうなるの?!




