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はよ食えって、話が進まんやろうが
-423 賜り物-
庭に米の炊ける良い匂いが漂って来てから十数分が経過してやっとの事、そこにいた上級鳥獣人は息子に頼まれたボウル一杯の「ペンネのサラダ」を持って来た。「ただのサラダでご飯が進むの?」と疑問に思う方々もいると思うが、マヨネーズやブラックペッパーをふんだんに使った濃厚な味付けのお陰でその疑問は解決する様になっていたので問題無し(と思う)。
ただ心配事が無いと言えば嘘になる、先程も言った通り炊き立ての米の良い香りが漂ってから十数分が経過しているので火を消さないと本当に焦げ付いてしまうのではないかと心配になってしまう。
ナイリ(当時)「これこれ、やっぱりこれが無いとうちの食事は成り立たないからな。」
ソン(当時)「勿論だ、これなしでは生きていけない位なんだからな。」
「流石にそれは大げさ過ぎやしないか?」と引き笑いをしてしまうメンゾだが、ソン本人からすれば「このサラダのない世界なんて考える事が出来ない」位の大好物との事だ。どうやらこの事は息子のナイリも同様だそうで、このサラダは週に何度も親子の食卓に並ぶとの事だ(という事は相当美味しい物だと推測出来る)。
一先ずペンネとソンが持って来た皿にサラダを取り分ける事に、ただそれと同時に息子の妻を含む一家は何故かぺろりと食べてしまった。
メンゾ(当時)「おいおい、それはご飯のおかずにするんだろ?」
「もしかして別に漬物でも用意しているのか」と疑問に思ってしまったが、どうやらそれはメンゾの勘違いだった様だ。
ナイリ(当時)「忘れてたよ、このサラダが出るといつも取り合いになっちゃうから思わず手を出しちゃった。悪い悪い。」
何処の家にもそう言った人気のおかずが存在しているはず、その事を考慮に入れた上級巨獣人は「まぁ良いか」と一息つく事に。
気を取り直して4人は良い香りを漂わせていたお釜の火を止めてから蓋を開けて炊き立ての白飯とご対面する事に、正直焦げて無いと良いけど・・・。
ソン(当時)「皆、開けるぞ?」
自らの言葉に全員が頷いた事を確認したソンが蓋を開けると先程からずっと漂っていた香りがより一層強くなった、待ちに待った感動の瞬間だ。
蓋が空いたお釜の中ではまるで白金の様にきらきらと輝くご飯が全員を待ち構えていた、どうやら心配していた焦げ付きの問題は大丈夫だった様だ。
ソン(当時)「うん、良い具合だ。それにしてもこれが神様から頂いたお米か、有難く頂かないとな。」
お釜の中で炊き上がったご飯にペンネが杓文字を挿し込んでかき混ぜる、その瞬間に良い香りが再び4人の空腹を誘っていた。特にソンとナイリは先程「ペンネのサラダ」に食らいついていたはずなのに何語も食べていなかった様に涎を垂らしている、一体誰が貰った鳳凰に貰った米なのかが分からなくなってきているが今はもうお構いなしだ。
4人は先程までサラダを盛っていた皿を軽く洗って水気を切った後に炊き上がったご飯をよそい始めた、「早く食べ・・・、頂きたい」という気持ちが表情から滲み出ている。
4人(当時)「い・・・、頂きます・・・!!」
4人は息を飲んで箸を延ばした。おいおい、たかが飯1杯を食べるだけに何でそこまで緊張しているんだよと言いたいが「美味しそう過ぎて」と言われると分からなくもない。
同時に口へと運んで咀嚼を始める、するとどうだろう・・・!!
メンゾ(当時)「あ・・・、甘い!!」
驚くのも無理は無い、神から賜った米は一般市場に出回っている物に比べて倍以上の糖分を含んでいるので相当な甘みを感じる様になっている。
ソン(当時)「それだけじゃない、凄いモチモチしているぞ・・・!!」
正直鶏の餌に混ぜ込むのも躊躇ってしまう位に美味かった様だ、釜一杯に入っていた米は30分もしない内に全て無くなってしまった。
ただ神の言葉に逆らう訳にもいかない、食事を終えた上級鳥獣人親子は早速餌に粉状にした米を混ぜ込み始めた。自分の分を受け取ったメンゾも急いで家へと戻って同様に行った、するとどうだろう・・・。
メンゾ(当時)「やっぱりこいつら味が分かるんだな、食う勢いが違うよ・・・!!」
大袈裟やろ・・・




