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いよいよ刈り取りだよ・・・、ね?
-421 ソンって実は・・・-
その場にいたメンバーの中で最も冷静だったソンの判断に素直に従いつつ、メンゾとナイリは神の魔力が込められていたが故にグングンと育って行った稲穂を刈り取って行った。
そして上級鳥獣人親子による稲作のレクチャーに感謝する様にメンゾは刈り取った稲穂の半分を親子に手渡す事に、親子はずっと遠慮がちであったがメンゾの感謝の気持ちの方が大きかった様なので上級鳥獣人達は受け取る事に。
ソン(当時)「折角貴重な稲を刈り取ったんだ、鶏の餌にする前に食べてみないか?」
ナイリ(当時)「鳳凰様もそう仰っていたから良いんじゃないかな、ただ俺はメンゾの判断に任せようと思うんだが父さんはどう思う?」
勿論ソンには異論など無かった、鳳凰から直々にこの稲穂を賜ったのはメンゾなのだから当然とも言えよう。
メンゾ(当時)「そうだな、俺達お握り以外何も食って無いから丁度腹が減って来たもんな。俺達が育てたこんなに良いものを自分達で食べないなんて勿体ないから頂くとしよう。」
メンゾの言葉を待っていたかの様にナイリは庭の側にある小川に流れる綺麗な水を汲んで来た、それと同時にソンも空っぽのお釜を両手に抱えて走って来た。実は1番嬉しいのはソンだったりする可能性が高いが今は様子見をするのが1番だろうなと思ってしまう。
ナイリ(当時)「そう言えば父さん、今日って「あれ」あったっけ?」
ソン(当時)「「あれ」って・・・、ああ・・・、「あれ」か。」
「あれ」が何なのかを詳しく言わなくとも理解し合えるところは流石親子だと言える、ただ本当に伝わっているのかが不安だが。
そんな俺の事はつゆ知らず、ソンは家の台所へと駆けて・・・、いや『人化』を解除して低空飛行していった。正直どちらで行った方がより早く到着出来るのかが不明だが、炊き立ての白飯の香りを想像して興奮したが故に気持ちが早ってしまうのも無理は無い。
それから数十秒後、鼻息を荒げながらソンがまた低空飛行でその場に戻って来た。米がまだ炊ける訳が無いのに焦ってどうするんだと思ってしまうがツッコミを入れるのはやめておこう、雰囲気を悪くするのは俺も好きでは無い。
ナイリ(当時)「お疲れ、父さん「あれ」持って来たか?」
ソン(当時)「持って来たぞ、お前これ好きだったもんな。」
息切れしていた父親から小さな小瓶を受け取った息子は何故か顔を渋らせた、どうやら求めていた物では無さそうだ。
ナイリ(当時)「父さん・・・、これは「あれ」じゃなくて焼肉の「タレ」!!「タレ」だけ持って来るなら肉も持って来てくれよ!!」
ソン(当時)「じゃあ何だってんだよ、教えてくれよ。」
ナイリ(当時)「ほら「あれ」だよ・・・、うちの食卓では「マスト」って言えるだろう?」
ソン(当時)「確かにな・・・、でも持って来れるかな・・・。」
ソンは不安げになりながら再び台所へと向かって・・・、行かなかった。一体何を持って来ようとしているのだろうか、まさか今から仕入れにでも行くのか?
ソン(当時)「あったあった、でもお前子供の頃の小遣いが入った貯金箱なんて引っ張り出してどうするんだ?」
ナイリは幼少の頃から大切にしていた物品を受け取って嬉しそうにしていた、よく考えれば見覚えのある形だ。
ナイリ(当時)「ありがとう、助かるよ父さん。これで駄菓子屋さんに行けるわ・・・、ってこれ「ポスト」!!」
息子との時間が楽しいのか、まさか父親がボケに回るとは。仲が良いようで羨ましいが時間が経ち過ぎたら折角の米がお釜に焦げ付いちゃうぞ(確かに俺もおこげは好きだが)?
ソン(当時)「じゃあ何なんだよ、ちゃんと教えろよ。」
そうだぞ、これはちゃんと教えなかったナイリが悪いぞ?
ナイリ(当時)「ほら、冷蔵庫にあっただろ?「ペンネのサラダ」!!」
ソン(当時)「あれね・・・、お前あれ好きだよな・・・。ちょっと待ってろ?」
ソンは綺麗な皿を抱えて戻って来た、後ろを見覚えのあるエルフが追いかけていた。
ナイリ(当時)「父さんそれ・・・、「ペンネの皿」だよ!!」
「ソン」なキャラだったの?!
・・・、ってうつったわ!!




