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420

「善は急げ」と言うが焦り過ぎは禁物ラーメンか


-420 作業開・・・、いや終了?-


 本来なら田畑を水田として利用する為には数カ月もの期間をかけて作業を行っていくのだが、ナイリの父であるソンが言うには「元々水田の端の方で空いていた場所を利用するだけなので場所を区切った上で苗を植える事さえ出来れば大丈夫だろう」との事だった。

 一方で上級巨獣人メンゾ鳳凰フェンから貰ったという稲はと言うと、「状況に順応する様に」と「微量」ながらフェンによって魔力が込められていたので知らぬ間に苗の状態へと変わっていた。ただほんの少しだが一般的な物と違って苗の周辺が光っている様にも見える、ソンはその光景を見て驚きを隠せなかった様だ。


ソン(当時)「という事は本当に鳳凰様にお会いしたという事なのか?!」


 実は2人の目の前にフェンが現れたという事を信じ切れていなかったというソン、「百聞は一見に如かず」と言う様に自分の目で確かめてもいないのでナイリ達にどれだけ「俺達は神様に会った」と言われた所で疑ってしまうのも無理は無い。


ナイリ(当時)「父さん、何か知っているのか?!」


 未だに表情が戻らない父親に対して「少しオーバーじゃないか」と思いながらも、ほんの少しだけだが「自分達が希少な経験をした」と実感し始めた息子とその友。ただ2人の目の前で上級鳥獣人レイブンが顔を歪めたまま固まっていたので意識を自分達の方へと向ける為、メンゾはそっと声をかける事に。


メンゾ(当時)「おじさん、何か知っているなら教えてくれよ。」

ソン(当時)「ああ・・・、私も数百年前に祖父から聞いた話なんだが「ダンラルタ王国の北東にある孤島に存在する小さな祠に伝説の鳳凰が祀られている」と言われていたそうなんだ。」


 「ダンラルタ王国の北東にある孤島」ねぇ・・・、確か「ネルパオン強制収容所」があった様な。


ソン(当時)「ただその話を元々知らなかったり信じていなかったりしていた住民が殆どで、今となっては重罪を犯した者を収容する為の強制収容所がドドンと建ってしまっているから一応は数年毎に捜索や調査が行われたものの、未だに祠の存在すら「不明」とされていたんだ。

 ただ爺さんがその時こうも言っていた、「鳳凰様の持つ光輝く稲を賜り大切に育て上げると農家やその友人等に幸福が訪れるらしい」と。まさか本物を拝む事が出来るとは・・・、長生きはするもんだな・・・。」


 そう言ってソンはメンゾが大切に持っていた苗に向かって手を合わせ、念入りに拝んでいた。そして「こんなチャンスは二度とない」と意気込んで元々区切りを付けていた田んぼを改まったかの様に手作業で耕し始めた、正直言って2人以上に乗り気となっている様な気がする。まぁ元気そうに働いているから良しとするか、でも腰が悪いんだからくれぐれも無理はしないでくれよ?

 そうして3人は興奮した勢いに任せてソンが綺麗に耕し終えた田んぼへと苗を植えていく事にした、いつの間にかソンも2人で行おうとしていた作業に加わっていたが人数が多い分作業効率が上がるので何も言うまい。


挿絵(By みてみん)


 ただ苗を植えてから30分が経過し、3人が休憩を兼ね家の縁側でお握りを食べていた頃に事態は起こった。

 最初に気付いたのは湯呑を片手にふと田んぼの方を見た元々の所有者であるメンゾだった、今回の為にソンが区切りを付けていた場所だけ明らかに違和感がある。


メンゾ(当時)「なぁ2人共、あれを見てくれないか?」


 その言葉についつい話し込んでいた親子はピタッと黙り込んで田んぼの方へと目をやった、よく見ると先程植えた苗の周辺だけ水が極端に無くなっている上に妙に大きくなっている(いやなり過ぎている)。「どうしたんだろう」と心配に思った3人は急いで田んぼの方へと近づいて苗をじっと見つめていた、よく見たら「もう直ぐ稲刈りが出来るかも知れない」という所まで成長していた。本来なら苗の成長に合わせて水の量を調整しなければならないのだが、どうやら神の魔力のお陰で苗自信がその調整を行う様になっていたらしい。「微量」でも神の持つ魔力は偉大な物だった様だ、改めて言う事では無いがこの事実から「一柱の神」と称される古龍(ラルー家)達も相当偉大な存在だった事が言える。


ソン(当時)「もうちょっとだけ待ってみるか、そうすれば刈り取れる様になるかも知れないからな。」


 ソンの申し出から数分後、苗は見事に成長し頭を垂れていた。そう、予想通り「刈り取れる様に」なったのである。


2人(当時)「良し、全部刈り取って俺達の飯と鶏の餌にしちまおうぜ。」

ソン(当時)「待て2人共、大切な稲だからある程度残して来季用に置いておこう。」


俺もソンに賛成

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