418
中々話が進まないよぉ・・・
-418 焦らすねぇ・・・-
鳳凰ことフェンから受け取った稲を片手に途方に暮れる上級巨獣人は何事も無かったかの様に飛び立ち天界へと帰っていく神の背中をずっと眺めていた、そして影もが全くもって見えなくなった時にふと隣にいた友人へと相談を持ち掛けた。
メンゾ(当時)「なぁ、ちょっと良いか?」
神からの賜り物を両手に持っているにも関わらず、何故か浮かない表情を見せるメンゾには何があったと言うのだろうか。
ナイリ(当時)「俺は別に構わないけどさ、そんなに綺麗な稲の事が不服だってのか?俺だったら喉から手が出る位に欲しくなっちゃうけどな。」
先程のフェンでは無いがやはりメンゾの表情の意味が気になるナイリは恐る恐る友人の心中を伺ってみる事に、ただ「自分が聞いても良い事なのだろうか」という不安な気持ちがあった様だが傍らで見ていただけの俺は個人的に大丈夫だと信じたい。
メンゾ(当時)「いやな、「嬉しくない」と言えば嘘になるよ?神様から贈り物を頂くなんてそうそうない事なんだからな。」
ナイリ(当時)「じゃあ何なんだよ、ハッキリと言えって。」
何処からどう見ても喜んでいる様には見えないメンゾ、ここまで来たら俺だって何を考えているのかを聞きたくなって来ている。
メンゾ(当時)「じゃあ言うけどさ・・・、俺んち田んぼ無いじゃん?勿論稲(米)なんて育てた事無いじゃん?どうすれば良いんだろうなと思ってさ・・・。」
何となくだが、どうしてメンゾが「なぁ、ちょっと良いか?」と語りかけたのかが分かった様な気がするナイリ。本人自身嫌な気はしていない様だ、どちらかと言うと「歓迎」と言わんばかりの顔をしている。きっと、次に来る言葉を待ち望んでいるんだろうな。
ただこういった事は決して焦ってはならない、ナイリはそろりそろりと近づく様にその本心を聞いてみる事に(俺もそれが良いと思う)。
ナイリ(当時)「「どうすれば良い」って言われてもな・・・、お前はどうしたいんだよ。」
中々本心を打ち明けないメンゾ、ナイリは気持ちを抑えるのが大変になってきたかも知れない。
メンゾ(当時)「そりゃあ育てたいさ、折角貰った稲を無駄にしたくないし・・・。」
もう・・・、ウジウジと引っ張り過ぎなんだよ。ハッキリ言っちまえって(俺がイラついたって仕方無い事なんだけど)!!
ナイリ(当時)「じゃあ・・・、どうすんの・・・?」
再び深く考え込むメンゾ、その結果として口にした言葉は意外だった。
メンゾ(当時)「レンタル農園でも借りて育てようと思うんだけど・・・、どう思う?」
実はと言うと数年前からこの世界で園芸が密かなブームとなっていた、そして「広い土地は持っていないが花や野菜を育てたい」という住民に使わなくなった土地を貸し出す農家が増えてきている様だ。メンゾが言った「レンタル農園」もその1つ。
ナイリ(当時)「待てよ、「レンタル農園」って結構するぞ?それに「畑」として貸し出している土地を他の方々と共通で使う訳だから勝手に水を引いて田んぼとして使うのはどうかと思うぞ?」
勝手に畑を水で満たして他の住民が育てている作物を駄目にするのは決して良い事では無い、ナイリはメンゾのアイデアを必死に否定していたが本心は別の理由(もう言っちゃえばどうだ)。
メンゾ(当時)「じゃあ・・・、俺んちの庭に田んぼを作るのは?」
ナイリ(当時)「いや・・・、そうするにしても何処から水を引くつもりだよ。」
メンゾ(当時)「駄目か・・・、だったらどうしよう・・・。」
いよいよだぞ、もう早く本心を言ってしまえよ・・・。
ナイリ(当時)「どうする・・・?」
メンゾ(当時)「うん・・・、もうちょっとだけ考えるわ。」
おい!!




