417
見つかったか?
-417 何かすんません-
静寂が辺りを包む中、鳳凰は先程から数十分もの間ずっと持ち歩いていた小さな袋に手を入れて手探りで探し物をしていたが未だに「一宿一飯の恩義のお礼」として渡そうとしていた「贈り物」は見つからない。こんな事は言いたくなかったが、実は何も入っていなかったりしてと思ってしまう今日この頃。
鳳凰「失礼な事を言うなよ、その証拠にほら!!」
「ちょんと物が入っている」事をアピールするべく、袋の中身をその場に出し始める鳳凰。最初からそうすれば探し物も見つかると思うが何も言わない方が身のためなのかも知れない、それにしても小袋に入れている割には色んなものが出てきたが結構入るんだな。
鳳凰「そりゃそうさ、この袋の中は異空間が広がっているから沢山入るんだよ。」
どうやら俺の予想通り鳳凰の持つ小袋は『アイテムボックス』と同等の様だ、俺の記憶が正しければだが好美の『アイテムボックス』の中に誰か住んでいた事があった気が・・・。
好美(当時)「ちょっと・・・、バルファイ王国側の不動産屋の社長さんが有給取って一時的に住んでたじゃん!!忘れたとは言わせないよ!!」
あ・・・、聞こえてたんすか・・・。何かすんません・・・。
好美(当時)「もう・・・、現場にいなくても『察知』や『探知』で聞こえる物は聞こえるんだからね。それと、私台本貰って無いんだけどいつになったら次の出番が来る訳?私と守が一応主人公だよね?蔑ろにし過ぎじゃ無いの?」
鳳凰「何だよ創造主、どうかしたか?」
悪い悪い、別サイドでちょっと問題があっただけだ。神様をほったらかしにする事には抵抗があるがすぐ戻るから探し物を続けていてくれ、すまねぇ。
鳳凰「俺はその方が助かるけど、その間に楽屋とかを見て来れば良いだけの話だし。」
えっ・・・、台本だけじゃ無くて楽屋まであるんだ(棒読み)。それは良いけど一先ず好美、あんたらがこの前俺にこっそり「長期で休ませろ」って言って来たんだから休みを与えてんだろうがよ。「労働基準法」とか「休む権利」とか色々と面倒になるからちゃんとそっちの希望通り「2人での長期休暇」を与えたんだろうが、2人の出番はまだねぇしこんな所で裏事情を話したくはないんだからゆっくり休みを満喫して来い!!
好美(当時)「分かった、じゃあ出番がある時はちゃんと呼んでよね?」
心配しなくてもちゃんと呼ぶからゆっくり羽を伸ばしておいで。
鳳凰「あのさ・・・、そろそろ良いかな・・・。」
おっとすまねぇ、「探し物」は見つかったかい?
鳳凰「大丈夫だ、楽屋に忘れてただけだった。」
だから、ここで裏事情を話すんじゃねぇって・・・。やっとの思いで「贈り物」らしきものを見つけ出した鳳凰はメンゾの方へとそっと近づいて手渡した、ただ上級巨獣人からすると渡された物は「お宝」からはかなりかけ離れたものだったらしい。
メンゾ(当時)「これは・・・、稲ですか?」
鳳凰「そうだ、この稲を田畑で育てて自分達で食べたり鶏の餌に混ぜると良い。」
メンゾ(当時)「成程・・・、では有難く頂戴いたします。」
鳳凰「ああ、大切にするが良い。俺はそろそろ行く、世話になったな。」
鳳凰は『人化』を解除して元の姿に戻り、大きな翼を広げて飛び立とうとしていたが・・・。
メンゾ(当時)「あの・・・、最後に1つだけお伺いさせて頂いても宜しいでしょうか。」
鳳凰「何だよ、俺があげた稲では不服なのか?」
後ろ髪を引かれる思いの鳳凰、ただメンゾは何を聞こうとしているのだろうか。
メンゾ(当時)「いや、ただの興味本位なんですがお名前をお伺いしても?」
鳳凰「俺か?そう言えばまだ言ってなかったな、俺はフェニックスのフェンだ。簡単だろ?」
ナイリ(当時)「失礼かもしれないですが、ご年齢をお伺いしても?」
フェン(当時)「3000歳だった・・・、と思う。」
メンゾ(当時)「あの・・・、天界ってどうやって・・・。」
フェン(当時)「「1つだけ」じゃ無かったのかよ、と言うかそろそろ行って良いかな。」
何で苛立ってんだよ。




