415
加護に動揺を隠せない貝塚夫妻
-415 神の加護-
この世界においてこれまで色々な経験を積んでそれなりに名声をあげて来た巨大財閥代表取締役社長夫妻は「ステータス画面」にあった「鳳凰の加護」の文字に目の前が真っ暗になりそうになっていた、自分達が異世界にいる事を改めて実感したが正直言ってこの世界でもそうそうない稀な出来事だ。
結愛(当時)「なぁ光明、俺達本当にこれを受け取ってもいいのかな。後で「この分を何かで返せ」とか言われかねないかな。」
光明(当時)「十分にあり得る話だが、今は鳳凰様の御言葉を聞く事が最優先じゃないか?」
初めて授かった「神の加護」に改めて感謝する為に2人は鳳凰に向かって跪いた、ただどの様な効果があるのかは不明であるがちゃんと聞かなくても良いのだろうか。
結愛(当時)「効果がどのような物であってもご加護を頂けるだけで有難い事なんだぞ。」
光明(当時)「そうだぞ、あんたは受けた事あんのか?貴重な経験をしているんだぞ?」
そりゃあ元の世界(地球・日本)にずっと住む俺はずっと経験する事は無いだろうよ、それが故にどの様な物なのかが気になるってもんなんだ。
結愛(当時)「全く・・・、しゃあねぇなあ・・・。鳳凰様、恐れ入りますが頂戴いたしましたご加護にどの様な効果があるのかをお教え願えませんでしょうか。」
改まった様子で目の前にいる存在を「神」として崇めだした結愛は先程とは打って変ったかのように丁寧な口調で話しかけた、ただその事は鳳凰に良い印象を与えなかった様だ。
鳳凰「待てよ、どうしてそう堅苦しくなるんだよ。さっきみたいにしてくれよ。」
あの・・・、お言葉ですが流石に存在すら「伝説」と言われていた神様に対して先程の様な態度は誰だって取れませんって。
鳳凰「おいおい、俺が直々にフランクに行こうって頼んでいるのにか?」
これが世に聞く「気が引ける」って奴ですよ、何となく抵抗しちゃうと言いますか・・・。
鳳凰「そう言えばあんたも元に戻っちまってんじゃねぇか、どうしたってんだよ。」
いや・・・、念の為ここは結愛に合わせておこうかと思いましてね。駄目なら元に戻しますがいかが致しましょう。
鳳凰「気持ち悪いから戻ってくれよ、勿論結愛もだぞ?」
本来ならかなりやり手とも言える「あの結愛」が自分に対し頭を下げて跪いているんだから「悪くない」と言うのが普通だと思うかもしれないが、やはりそこは神様からの目線での意見なので我々と考えが違う様だ。
結愛(当時)「鳳凰様がそう仰るなら・・・、戻すけどさ。それで?あんたの加護ってどんな効果があるってんだよ。」
未だに加護の効果を言おうとしない鳳凰、今度は何が気に食わないと言うのか。
鳳凰「「気に食わない」と言うか何と言うか・・・、さっきから俺ってずっと「鳳凰」って呼ばれてるだろ?俺だってちゃんと名前で呼ばれてぇよ。」
そ、そうやねぇ・・・。ただ悪いんだけど皆あんたの名前を知らないんだ、だから「鳳凰様」としか呼べねぇんじゃねぇのか(けっ、我儘な奴め)?
鳳凰「おい、聞こえてんぞ?」
あれ、私余計な事申し上げましたかね?
鳳凰「俺はな、耳がすこぶる良いんだよ!!どんな小声でも聞こえちまうんだからな!!」
(チィッ・・・)悪かったよ・・・、それで悪いんだが名前を教えて貰っても良いか?
鳳凰「おい、舌打ちが聞こえたぞ?」
結愛(当時)「俺達もだ、ハッキリと聞こえたぞ?」
あらま、と言うかまさか・・・。
鳳凰「おっ、もう加護の効果が出て来たみてぇだな。俺の加護は兎に角耳が良くなるんだ。」
正直いるか?




