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やっぱり能力って便利だよな・・・
-386 今まで気付かなかった事-
女子高生達は上級人魚に『付与』して貰った『瞬間移動』を利用して未だ口内に炊き込みご飯を残しながら早速身支度を済ませる為に各々の部屋へと向かった、今思ったが『付与』って『作成』を利用した転生者特有の魔法(能力)だったはずだけどどうしてピューアが出来る様になってんだ?
ピューア「まぁまぁ細かい事は気にしないでいいじゃない、あんたってA型だったっけ?」
い・・・、いや先祖代々B型ですけど人魚さんって血液型の概念ってあるんですかね?
ピューア「今更何言ってんのあんた、この世界の住民全員が種族関係なく人間と同様の血液型が存在するじゃない。それでもこの世界の創造主な訳?」
あのですね・・・、別に俺(創造主)は全知全能の神ではないんでね。そりゃあビクター・ラルーが「知らない」って言えば何かしら問題になるかも知れませんよ、勿論「全知全能の神」の称号剥奪ですよ?
ピューア「今はあんたの事を言ってんじゃないのよ、ビクター神様は関係無いでしょ。」
まぁ俺の事は良いじゃないですか、今貴女がすべきなのはお父様の技術などを学ぶ事でしょう。ちゃんと勉強しないとあのシューゴさんだって黙っていないはずですよ?
ピューア「あんたに言われたくないわよ、それにあんたにシューゴさんの何が分かる訳?」
逆にお伺いいたしますが、貴女は俺の何をご存知だと仰るんですか?
ピューア「せ・・・、先祖代々B型・・・。」
それさっき俺が言ったからでしょうが、まぁ良いですから話を進めましょうよ。
ピューア「そうそう、いつになったらこの台本って次のページに移る訳?」
おいおい待てよ、イャンダだけと思っていたが全員が台本を持ってんのか?!と言うか「台本」って何だよ、一体誰に渡されてんだよ!!
ピューア「え・・・?ほら・・・、いつもあそこのADさんに渡されるけど。」
あらADさん、全然気づかなくてすみません。また今度菓子折りでもご用意致しますのでお許しくださ・・・、って良いんだよ!!いい加減話を進めんぞ!!
身支度を終えた女子高生達がギリギリの時間だったが何とかバス停へと向かったのを見送ったピューアはじっとメニューを見つめていた、どうやら「トンカツ屋ならこれは絶対あるだろう」という料理が見当たらなかった様なのだ。もしかするとこれはメラルークにすれば珍しいミスというやつなのだろうか、それとも・・・。
ピューア「お父さん・・・、そう言えばうちって昔から「カツカレー」って無いよね?」
そう、ニクシーが実家を出る前から今の今までずっとこの店には「カツカレー」が存在していなかったのだ。これは飽くまで憶測だが、きっと「トンカツ屋なのにどうして提供が無いのか」と疑問に思ったお客さんも少なからずいたはず。
ピューア「これって敢えてなの?やっぱりトンカツその物の味を楽しんで欲しいから?」
娘の言葉を聞いた父親は右手に持っていた包丁を震わせていた、その表情は何処からどう見ても「驚愕」以外の名前が見つからない物だったが・・・。
メラルーク「そ・・・、そうだよ?やっぱりカツカレーにしてしまうとカレー一色に染まっちゃうからね・・・、うちではやって無いんだよ・・・。」
ピューア「あのさ・・・、誤魔化しているのが見え見えだったんだけど。」
どうやらメラルークはただただ忘れていた様で、誰からも人気の料理となっているトンカツとカレーの両方を組み合わせて提供しようと一瞬たりとも思わなかった上に今までお客さんから全くもって指摘されなかったという。
ただ何故か店中には食欲を誘う芳しい香りが漂っている、どういう事なのだろうか。
ピューア「まさかお父さん・・・、ライスバーを始めたから一緒にカレーを出し始めたって訳じゃないよね?」
メラルーク「そ、そ、そんな訳無いだろうが!!実際に食って「美味い」と思ったから提供を始めたんだよ!!」
ピューア「お父さん・・・、何で目を逸らすの?ちゃんと私の目を見て話さなきゃでしょ?」
メラルーク「い、いや・・・。気の所為じゃないかなぁ~・・・、って。」
はい、図星確定




