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感動のシーンの時にスンマセンけど・・・
-373 魔法の言葉-
ずっと仲違いしていた父・メラルークと数年越しの仲直りを果たした娘は感極まり涙したのは良いものの、気が緩んで『人化』がほぼ解けかけていたが「流石にお客さんの前ではまずい」と冷静さを取り戻して改めて『人化』する事に。因みに着ている服は相変わらずの「小豆ジャージ」だった(勿論悪く言うつもりは無いのでご了承下さい)。
メラルーク「お前な・・・、さっき言おうと思ったが相変わらずそれしか持って無いのか?」
ピューア「最近はちゃんと買う様にしているけど今日の服は偶々よ、笑わないで。」
別に笑った覚えは無いのだが、一応これが「コメディ小説」だという事を思い出して欲しい今日この頃。
そんな中、娘以上の冷静さを取り戻していた父には疑問に思う事があった様で・・・。
メラルーク「そう言えばだが・・・、どうしてピューアがシューゴさんと一緒にいるんだ?」
ピューア「えっとね・・・。」
父に銀行員や板前を辞めて拉麵屋で働いている事を伝えていなかった為か、自らの現状を言い出せなくなってしまっているピューアに替わってシューゴが説明する事に。
シューゴ「あのですね・・・、実はご監修頂く料理を出す新店の副店長をピューアさんにお願いする事にしたんですよ。」
「飽くまで自分が独断で決めた」事を強調し、ピューアには何の罪もないという事をアピールしようとしたシューゴ。その傍らでニクシーは「家を飛び出してまでなった銀行員」を辞めた上で家にやって来た事により再び父を怒らせてしまったのではいかと小刻みに震えていた、しかし父親の反応は意外な物だった様だ。
メラルーク「そうか・・・、俺の娘がいち店舗の副店長にか・・・。俺も歳を取る訳だな。」
冷静さを保っていたはずのメラルークが感動で涙を流す中、ピューアは店の壁に立てかけられた掲示物を見かけた。
ピューア「お父さん・・・、あんなのあったっけ?」
涙目を擦りながら娘が指差す掲示物を確認した父親、どうやら娘が興味を持ったことが嬉しかった様だ。
メラルーク「いや・・・、つい最近思った事があって素直に書いてみたんだ。」
ピューア「そうなんだ、読んでみて良い?」
メラルーク「勿論・・・、どうぞ。」
マーマンの許しを得たニクシーは掲示物にそっと近づいた。
ピューア「「「ご馳走様」の魔法」か・・・。」
目の前の掲示物にはこう書かれていた。
「ご馳走様の魔法」
私達、飲食業で働く従業員にとって一番嬉しい瞬間は「ご馳走様」の言葉と共に笑顔で帰って行くお客様方をお見送りする時です。
店主である私、メラルーク・チェルドはあるお店で外食をした時に思った事があります。
「私達は商品(料理)に対してお金を払ってはいるが、料理を作るなどのサービスを行っている従業員の方々に対して直接お金を払っている訳じゃ無い・・・」と。
飲食業に限らず接客の仕事は人と人が顔を合わせて行われる事です、そんな中で感謝を伝える方法って「言葉」なのかも知れません。
確かに私共従業員は接客や調理を行う事によりお給料を得ています、しかしお客様方と同様に「心」があるのです。
辛いカスタマーハラスメントに合って心が痛む事もありますが、皆様の心温まるお言葉により「これからも頑張って行こう」という気持ちを持つことが出来る時もあるのです。
ただ飲食業は直接皆様と関わる「従業員」だけでは成り立ちません、「食材」とそれを出荷されている「生産者」の方々のお力がないといけないのです。
「それぞれに対する感謝を表す行動と言葉」・・・、それが「手を合わせながらの「ご馳走様」」なのでは無いでしょうか。
この行動で表される気持ちは決してお金で売買出来ないものであり、皆様にしか使えない「魔法」なのです。図々しいお願いかも知れませんが、宜しければ私達にその魔法を使って頂けませんでしょうか。
ピューア「「感謝」か・・・、誰しもが決して忘れちゃいけない事だよね。」
これは作者(俺)自身が思った事




