365
好美は重要人物・・・、のはず
-365 頼りにしても良いかどうか-
兄が守の名前が挙がった理由を未だに理解出来ていない中、弟は「仕方ないがこういう時だから・・・」とため息をつきながら好美へと相談する事に(ただ頼りになるかどうかは定かではないが何もしないよりはましだと思うしか無いんだろうな)。
好美「何よ、また私の悪口を言っている訳?いい加減にしないと警察呼ぶよ?」
な・・・、何も言ってねぇし・・・。俺はただイャンダの心中を代弁しただけだもん、無罪です!!
好美「無罪じゃないもん、全部あんたの妄想なんだから有罪だもん!!」
分かったよ・・・、また今度ビールを送っておくから許してくれよ・・・。
好美「大瓶ね、大瓶を最低でも3ケースね。でないと絶対に許さないから。」
大瓶ね・・・、分かりましたよ・・・。今度3ケース程送らせて頂きますからそろそろお話を続けても宜しいでしょうかね?
好美「仕方ないな・・・、今回だけだよ?」
全く・・・、コイツは1人暮らしのおっさんかよ・・・。
好美「何?また悪口?」
い・・・、いや・・・。俺って素晴らしいヒロインに恵まれて幸せだなと思いましてね。
好美「もう・・・、お世辞は良いから早く話を進めてよ。他の人が待ってんじゃないの?」
そっすね・・・、恐れ入りますがそうさせて頂きます・・・。
『探知』で好美の様子を探っていたが故に(多分俺の所為で)大分待たされていたイャンダは様子を伺いながらかつてのオーナーに恐る恐る『念話』を飛ばした、この場合においても違う意味で言葉を選びながら会話に臨まなければならないからだ。少しでも好美の機嫌を悪くしてしまうと全てがおじゃんになりかねないからである、怖い怖い・・・。
イャンダ(念話)「好美ちゃん・・・、もうそろそろ大丈夫?」
好美(念話)「ああごめん、私は何時でも良かったんだけど作者の所為で時間かかっちゃった。何か用事でもあった?」
こちらも『探知』で新店におけるイャンダの様子をずっと伺っていた好美はどういった相談なのかを大体把握していたみたいだったが、相手が話しやすい様に敢えて何も知らない体で『念話』に応じた。
イャンダ(念話)「実はさ・・・、こっちの店でもケデールさんの所の豚肉を使えないかなと思ったんだけど相談に乗って貰えないかな?」
好美(念話)「それって、守が育ててる豚肉って事?」
イャンダ(念話)「そうそう、一緒に試食した時に美味しかったから是非にと思ってさ。」
好美(念話)「確かにめっちゃ美味しかったよね、うちの店でも結構好評だから良いアイデアだと思うけど?悩む理由なんてある訳?」
イャンダ(念話)「いや・・・、何と言うか・・・。俺ってさ・・・、人見知りじゃん?」
好美(念話)「え・・・、そうだっけ?」
今日に至るまで知らなかった上にそうは見えていなかったからか、イャンダが「人見知り」だという事を初めて知って呆然とする好美。弟の横で開いた口が塞がらない様子だった兄も初めて知ったのでは無いだろうかと推測され・・・、っていやいや、あんたら何年の付き合いだよ!!と言うか兄弟だろ!!
イャンダ(念話)「そうだよ、初対面の人が目の前にいるだけで心臓がバクバクしそうになっちゃうんだよ。」
好美(念話)「でもさ、ケデールさんや守とはもう会ってるから大丈夫でしょ?と言うか豚肉の事なんだからケデールさんを通さなくても守に直接お願いすれば良いんじゃない?」
いや・・・、流石にビジネスの事だから守だけで判断させるのはまずいんじゃないか?
好美(念話)「何よ、きっと大丈夫だから茶々入れないでくれる?ね、守?」
守(念話)「え?!な・・・、何だよ!!」
恋人からの唐突過ぎる『念話』に驚きと戸惑いを隠せなかった守は両手に持っていた餌箱を落としそうになっていた、勿論話の流れも掴めている訳が無い。「流石に無茶ぶりが過ぎねぇか?」と聞きたいが今は様子見をするだけの方が身のためなのかも知れない。
と言うか・・・、守っていつ振りだ?




