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嬉しくない「朗報」って・・・
-349 そろそろ目的を言わんか-
不意に思い出した過去が過去だったが故に兄から放たれた「朗報」という言葉をより一層信用出来なくなっていた弟、頼むからあんた達だけは順調に話を進ませてくれよ。
イャンダ「まぁ遠い昔の事を責めても事実が変わる事は無いからもう水に流してやるよ、それで今日はどうしたってんだ?」
あらま、弟は大人になったみたいだな。俺も見習わなきゃ。
ベルディ(電話)「そうそう、忘れてたよ。お前に「朗報」を持って来たんだ。」
イャンダ「本当にその言葉を信じても良いんだよな。」
改めて兄の事を疑い始める弟、このままだと何時まで経ってもベルディの目的が果たされることが無い上に話が全くもって進まない。
ベルディ(電話)「そう怪訝になるなって、お前がずっと待っていた情報を持って来たというのに。」
どの様な内容なのかは大体想像出来てしまっているが、ここまで引っ張られると流石に話の流れを楽しんでみるのも一興なのかもしれない。
イャンダ「別に怪訝になっているつもりは無いけど、夜に向けての仕込みもあるからいつまでもこのまま兄貴と電話をしている訳にもいかないんだよ。」
ベルディ(電話)「おいおい、そんなに冷たい奴だったか?兄ちゃんは悲しいぞ。」
イャンダ「なぁ・・・、兄貴ってそんなキャラじゃなかったよな?確かに随分と長い間会っていなかったがその間に何があったってんだよ、俺の知ってるお前は何処に行ったんだ。」
イャンダ「別に俺は昔から変わらないよ、それで何なんだよ。」
そうだぞ、いつまで話を引っ張るつもりだってんだよ。喧嘩までは行っていないみたいだが・・・、俺はいつまでも兄弟同士の言い争いに付き合うつもりは無いんだぞ?
イャンダ「あぁ・・・、分かってるよ!!今までずっと無視してたのを良い事に横から茶々入れて来やがって・・・、ちゃんと兄貴の話を聞くから黙ってろって!!」
おいコラ・・・、結愛にも言ったがこの俺に偉そうにしても良いと思ってんのか?
イャンダ「何だよ、姿形も見えないお前に何が出来るってんだよ!!」
言ったなこの野郎・・・、そう言うならやってやるよ・・・。覚悟しやがれ、『雷』・・・。
イャンダ「待て!!分かった、話し合おう!!謝るよ!!ここには見ての通り俺の全財産では決して買えない貴重な調理機器が沢山並んでいるんだ、頼むから許してくれ!!」
はぁ・・・、まぁ俺も騒ぎを起こすつもりも無いからここら辺で許してやるよ。
取り敢えずお2人さん・・・、話を進めて頂けませんかね?
イャンダ「そうだな・・・。兄貴、そろそろ本題に移らないか?」
ベルディ(電話)「俺もそうしたかったがそっちで何があったか分からなくてな、もう大丈夫なのか?」
イャンダ「一応はもう大丈夫だ、それで今日はどうしたんだ?」
そうそう、早く教えてくださいよ。俺はこんな電話で数話分も使うつもりは無いんでお願いしますよ。
ベルディ(電話)「実はな、お前に来てもらう事になった店がやっと完成したんだよ。ちょっと見に来てもらえないかと思ってさ。」
イャンダ「それを先に言ってくれ、それに俺も兄さんに言おうと思っていた事があってさ。」
ベルディ(電話)「ん・・・?俺にか?」
イャンダさん、もしかして「あの人」との事ですか?まさか俺が知らない内に展開が?
イャンダ「そうなんだよ、新しい店で副店長をやる人についてはこの前紹介したよな?」
ベルディ(電話)「ああ・・・、確か「人魚」って言ってたな?」
相も変わらずの件だが「ニクシー」な?本人がいたらガチでキレるぞ?
ベルディ(電話)「それで・・・、その人魚さんがどうしたってんだよ。」
イャンダ「うん・・・、その人とお付き合いする事になったんだよ。」
ベルディ(電話)「そうか・・・、「暴徒の鱗」って寛大な会社なんだな。」
予想通りな様な・・・。




