346
滅茶苦茶だよな・・・。
-346 決まらない-
この世界に来てからずっと積み重ねて来た汚点(?)を指摘されて凍り付く好美、しかし自分が店を経営するに当たって店長及び副店長の雇用条件に触れる程に一切曲げるつもりは無いと決めていた事なのでバハラにどれ程言われても今まで以上の生活を変えるつもりは無かった(因みにシューゴが承認しているかどうかは不明である)。
好美(当時)「良いじゃん別に、経費の1部は私自身のお金を使っているんだから。」
好美はこう言っているが家賃収入や夜勤の給料、そして「暴徒の鱗」に「コノミーマート」の利益の事を考慮に入れたらどちらかと言うとプラスになっている為にそこまで意地を張る必要は無いのではと思ってしまう。
ただ今は好美の事をぶつくさ言っている余裕は無い、話を進めて行こうでは無いか。
結愛(当時)「待ってくれ、運搬料を安くするから貝塚学園の給食センターにも白菜などの野菜を卸して貰う事は出来ねぇか?勿論その分の卸値は支払わせてもらうからよ。」
バハラ(当時)「私は別に構わないよ、と言うより嬉しい位だ。子供達の教育支援に協力出来るなら喜んで卸させて貰うつもりだよ?ただ好美ちゃんやヤエルは良いのかい?」
今思えばバハラが世話をしている家庭菜園(畑)はかなり広大だ、そこで採れた白菜の殆どをキムチにして「暴徒の鱗」で販売するとなるときっとかなりの量となるので在庫管理等が大変になる事は目に見えている。第三者の俺からすれば悪くない話だがヤエルや好美がどう言うか・・・。
ヤエル(当時)「社長さん・・・、ちょっと良いかい?」
結愛(当時)「ヤエルさんだっけ・・・、俺の事は「社長」なんて呼ばなくて大層に良いよ。堅苦しいのが苦手だから「結愛」って呼んでくれや。」
2人の会話をさり気なく聞いていた好美は口で割り箸を割りながら答えた、何となくだがお行儀が悪い様な・・・。まぁ、今は良いか。
好美(当時)「そうそう、気にせずそう呼んでよ。「フランクに行こう」ってのがあたしらのやり方だからね。」
バハラ(当時)「好美ちゃん、あんたはフランク過ぎるんだよ。もうビジネスの話をするつもりが皆無だって一目で分かっちゃうのは私だけかい?」
いやバハラだけでは無い、左手に持っている小皿に大量の肉が積まれた様子からどう見ても「100%プライベート」が一目瞭然だ。
バハラ(当時)「それでヤエル、何を言おうとしたんだい?」
ヤエル(当時)「いや・・・、大した事じゃ無いんだけど私が仲間内で育てた野菜も卸して貰えないかと思ってね。勿論無理なら良いんだよ?」
結愛(当時)「いや、無理な訳無いだろ。勿論買わせてもらうよ、最近魚龍の村で採れた野菜は注目度が上がっているから実は目を付けていたんだ。願ったり叶ったりだ、宜しく頼む。」
またかなり器の大きな発言をしてしまっているが光明が聞いたらどう言うんだろうか、俺個人は想像したくないな・・・。
結愛(当時)「大丈夫だって、安心安全な給食を提供するのがうちのモットーの1つだから光明だって反対する訳ねぇさ。」
いや・・・、急に野菜の仕入れ先を変えてしまうと色んな所が騒ぎになりませんか?
結愛(当時)「問題無いって、こういう事は電話1本で・・・。」
光明(念話)「馬鹿野郎!!そんなに軽いノリで何でも出来る訳が無いだろうが、青果の卸売業者にどう言えば良いってんだよ!!」
ほら・・・、予想通りだ・・・。お2人さん、夫婦喧嘩は勘弁して下さいよ・・・。
結愛(念話)「じゃ・・・、じゃああれだ・・・。2人には野菜を業者の方に卸して貰って俺達はそこから買うって方法を取れば良いんじゃね?」
光明(念話)「あのな、お前は軽く言ってるけど配送はどうするんだよ。「運送」の方にはそこまでの人員と車両の余裕が無いぞ、まさかと思うが龍族の方々に市場まで運んでもらうつもりか?そんなの申し訳なくて言えないだろう。」
いつもみたいにヒートアップしている訳では無いみたいだが、夫婦2人の『念話』は周囲に駄々洩れだった様で・・・。
ヤエル(念話)「あのお2人さん・・・、魚龍(私達)は全然構わないけど・・・?」
リスクを考えろって・・・。




