335
きっかけは・・・、まさか・・・
-335 またもや・・・-
突然だが話は数か月程前に遡る、好美は偶然休みの合った光と共にネフェテルサ王国にある競艇場にいた。2人共考える事は同じ、「大穴を当てて美味い物を食う」事であった。簡単そうに言うが俺の経験からして公営競技での勝負がそこまで上手く行くとはハッキリ言って思えない。
光(当時)「次のレースは間に合いそうに無いから見送って、その次から買う事にしても良いよね。私朝ごはんまだの、付き合ってくれない?」
しかし光の希望は速攻で崩れ去った、好美はここに来るまでに新聞や近所で入手していた出走表を利用して既に予想をしていたが故に何の抵抗もなくマークシートの記入を終えて発券機へと一直線に向かっていた。
光(当時)「ちょっと好美ちゃん・・・、もう少し考えてからでも良いと思うんだけど。」
彼氏の姉の言葉も空しく、投票を続ける好美。自分の予想によっぽどの自信がある様だが大丈夫なのだろうか。
光(当時)「ねぇ、お小遣いはもうちょっと大切にした方が良いと思うんだけど?」
ここでようやく好美が口を開いた、ただ相当自身に満ち溢れている様に思われる。
好美(当時)「大丈夫ですって、実はさっきから詳しい情報を携帯で見てたんです。」
実は街中のカフェで2人が待ち合わせてからと言うもの、好美はずっと携帯と睨めっこしていた。まぁ・・・、よくある事かと俺は許容していたが。
光(当時)「だからって絶対当たるだなんて保証は何処にも無いでしょ、もしそれで外れたらあそこの食堂で何か奢ってね?」
そこは「勝ったら奢ってくれ」と言うべきだがきっと保険をかけたんだろうなと思われる、きっと勝った時も「儲かったんだから取り分をくれ」とせがむんだろうな・・・。
好美(当時)「駄目ですよ、勝ったらやろうと思っている事があるんですから。」
光(当時)「・・・?」
疑問が残る光をよそにレース開始のファンファーレが場内に鳴り響いた、多くの観客が一斉に息を飲みながら競争水面を見つめる。勿論好美もその1人だった、ただ好美の場合は訳が違う気がしたが今は気にしない方が良いんだろうな。
静寂の中、未だ現役で担当するカバーサによる実況が鳴り響いた。
カバーサ「おはようございます、このレースからご観戦のお客様も少なくは無いのでございましょうか。まぁ・・・、それは良いとして・・・。今現在こちらネフェテルサ王国における天候は晴れ、気温は相変わらず20℃前後と過ごしやすい状態となっています。波や流れも緩やかで正にレース日和と言える状態における第④レースの競争水面です、スタートに向けて作戦待機行動を行う選手達ですがどうやら定番通り枠なりの進入になりそうな模様・・・。え~、①号艇の選手が艇先をスタート位置に向けてから後の選手達もそれに合わせて参ります。そうこう言っている内に枠なり3対3の進入と固まって参りました、緊張感が広がる中各選手にスタートを告げる大時計が動き始めます。」
好美は舟券をしっかりと握りながら息を飲んだ(と言っても下部にあるバーコードが読み込めなくなったら台無しになるので加減をしつつだが)、よく見れば周囲の観客達も食い入るように競争水面を見つめている。
そんな中、外枠3選手がエンジンを回し始め艇を進ませ始めた。
カバーサ「進入はインコースから1番・2番・3番、ダッシュ4番5番6番・・・。今スタートしました、好スタートを決めた外枠4番5番の2艇がそのまま1マークへと進入してまいります。後続の艇から十分な差を付けてバックストレッチへと差し掛かって参りました。そのまま2マークを旋回してホームストレッチ、これはもう頭2艇は決まったと言っても過言では無いでしょう。このまま行けば大穴万舟券となる事間違いなしでは無いでしょうか、そんなこんなで4番5番が2週目1マークを回って行きますが・・・。」
周囲の観客達は愕然としていたがそれ以上に好美が残念そうにしている、どうしたというのだろうか。
好美(当時)「4-5じゃなくて5-4なんです、このまま行けば大負けです!!」
好美がそう言うと突然強風が吹き荒れた、するとこの機に乗じたのが1艇。
カバーサ「5号艇が一気に捲り差した、ただこれも高配当となるのではないでしょうか。」
また好美の勝ち?




